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読書な毎日(217)

【宰相A】 田中 慎弥
 作家Tが迷いこんだ日本は日本人が旧日本人と呼ばれゲットーに押し込まれ白人(アングロサクソン)に支配される国だった。ここは本当に日本なのだろうか。Aが安倍総理を指しているのではと話題になり一時期Amazonなど品切れになっていた小説です。
 この著者の本ははじめて読みましたがまず文章が読みづらく、説明的すぎ。発想は面白いですが作品に奥行きがなく表現が汚い。つまり私は本作気に入らなかったということです(^^; 確かにこのAは安倍総理でこんだけキモク描写していいのか!?というぐらいですが全体的に表現が汚いのでゲテモノっぽいんだよね。まるでB級ホラー。センターオブナチスみたいだ。
 作者は芥川賞とってるそうですがこのレベルで!?とちょっと驚いた。大学生がはじめて小説書いたのかというぐらいたどたどしい感じなんですが。日本の作家レベルは落ちてるのかな...。
 ストーリー的には他の勢力に支配される日本人が反乱しようとするがあっさり鎮圧され拷問されその記憶も消されてしまうというジョージオーウェルの1984のパクリっぽい感じなのですがその焼き直しにしても恥ずかしいぐらいショボイ感じなんだよね。やたらゴッドファーザーのイメージが挿入されるのもウザイ。主人公が作家というのもなんで?著者が主役なの?
 こんなに人にはあまりすすめられない本というのも珍しい...。まあでも勇気を持ってこの題材で書いたのだろうから★1つプラスしておこう。
(★★)

【台湾民主化のかたち】 浅野 和生
 台湾旅行の予習で読んだ本。台湾は日本から近く日本との結びつきも強い国!?だが、今まできちんと調べたことがなく本著読んだおかげでクリアになった。もっと早く知っておけば良かったな。
 台湾のなりたちは日本との日中戦争までさかのぼります。一時は中国の広い地域を支配していた日本だったが、米国の参戦により戦況は次第に悪化しついに敗戦撤退するが、中国では蒋介石率いる国民党と毛沢東率いる共産党軍による内線が勃発。抗日戦で消耗していた国民党軍は敗走を続け、ついには台湾まで追い込まれる。そのときに国宝を持っている側こそ正当な中国の継承者であるということで蒋介石はそれらを台湾に運んだ。それが今台湾の故宮博物院にある白菜とか角煮なんですね。我こそは正当な中国であるという中華民国は台湾で反転攻勢の機会をうかがっている状態が一応まだ続いている!のです。台湾は孫文の辛亥革命の起こった1912年を元年とする中華民国歴を使っています。2015年は中華民国104年!
 とはいえ世界的には次第に中華人民共和国の方を正当な中国と認めていきます。日本も中華人民共和国を中国としながらも台湾とも関係を保っています。当の台湾だって今や中国が台湾の工場であり、台湾が最大の貿易相手です。タテマエ上は我こそが正当な中国なんですが、中国に攻め込むなんてことはありえない状況。米国はずっと台湾サイドでしたが、冷戦構造のなくなった後は中国とも良好な関係を結んでいます。台湾の立場は無くなったようにも見えますが、この間に工業国として世界で有数の地位を築いていった。Acer Asus や apple製品の中身をつくっているfoxconnも台湾企業。今や台湾なくして世界のITは回らない状況になっているのだ。
 前述の通り、中華民国は一時的に台湾に退避し元の中国を取り戻すつもりだったので中国各地の議員の選挙は凍結されなんと50年もそのままだった。しかし議員は高齢化、既得権益化してしまったのでこれを改め1996年にはじめて普通選挙が行われた。そんなこととは全く知らなく驚いた。このような状況だったので台湾は国民党の一党支配の状況が長く続いていたが、野党の民進党が陳水扁が総統となり政権をとったのが2000年。その民進党も陳水扁周辺の金銭的スキャンダルで支持を落とし再び野党になる。陳水扁本人も逮捕されてしまう。この一連のスキャンダルは政治的なものが感じられる。日本の民主党もこの流れに似ている感じがするが台湾の方がドラスティックだね。
 私らが台湾に旅行したときにちょうどこの陳水扁の自宅療養を求めるハンガーストライキをやっているところだった。本著には陳水扁が牢屋にいることまでは書いてなかったので日本に帰って調べて驚いた。
 現在は国民党の馬英九が総統だがこの人は人気ないようで近くまた政権交代があるだろう。日本もそうなってほしいね....。ちなみに台湾は日本とは違い投票率が8割ぐらいで選挙も国民あげてのお祭りのようになるそうだ。一度その様子もみてみたい。
 本著はこういった類の本としては読みやすく簡潔でおすすめです。一読で台湾の歴史の流れがわかります。
(★★★★)

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