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読書な毎日(215)

【あんぽん 孫正義伝】 佐野 眞一
 pepperイベント行って後日にいわぢろうをしのぶ会に来ていた佐野氏を見て、そういえば”あんぽん”読んでなかった!の思い出して読んだ次第。私はPCキャリアが長いのでソフトバンクは日本ソフトバンクの頃から知っています。私が最初買ったPCはMSXだったのですが、日本ソフトバンクと言えばギャングマンとかボンバーマンを思い出す。PC機種毎の雑誌も日本ソフトバンクは出していて、富士通FMシリーズ向けのOH!FMとか買っていましたね...懐かしい。孫氏の存在も一応は知っていましたが経営者なので興味なし。名前からして中国人かな?とは思っていましたが。
 その孫氏の日本ソフトバンクがソフトバンクとなり、ブロードバンド事業に乗りだし、yahooを買収、携帯電話キャリアを買収し、今や世界的なIT企業となった。しかし彼の人物像に特に興味があったわけではなかったのだが、あの佐野氏が「あんぽん」というタイトルで連載をはじめた。これは単行本出たら読まねば!と思っていたところに震災が起こりその後の孫氏の行動は皆さんも知るところと思いますが、俄然彼の人物像に興味がわき、あんぽんは買うつもりだったのですがすっかり忘れていた(^^;; pepperと佐野氏に会ったのもきっと何かの縁で”あんぽん”読み忘れているぞ!という警告だったのだろう(^^;
 そして読んでみて、こりゃたまげたわ!孫氏は朝鮮部落出身。子どものころはバラックに豚と一つ屋根の下に住んでいた。豚のエサの残飯を集めるおばあちゃんのひくリヤカーに乗って遊んでいたというのだ。極貧に近い生活。父、三憲は密造酒を売りながら徐々に資金を蓄え金貸しからパチンコチェーンを立ち上げ成り上がる。次男の正義は父の期待の星で九州屈指の進学校、久留米大学附設高校へ。更に飛び級で米国バークレー大へ。いわゆる神童ってやつです。帰国後、ソウトウェア卸の会社を起業し今に至る。コネも何もなくここまでのしあがってきた正にジャパニーズドリームを体現するような人物だったのです!孫氏やソフトバンクがいつも不当にたたかれるのは彼の出自が在日であり、コネもないからなのでしょう。そんな日本だと言うのに孫氏は”日本を愛している”と言ってはばかりません。
 驚くべきは孫氏だけではなく、彼の親族には胡散臭い人がいっぱい!その筆頭が父の三憲。半分ヤクザと言っても良いような人物です。母方親族も似たようなもの。殴り合いの喧嘩はしょっちゅうで、みんなハッタリをかましていてどこまでが本当の話かわかりません(^^; 逆に言えば彼らのような在日はそうやって生きていかないと日本で暮らすことができなかった。朝鮮人差別は歴然としてありまともな職業になかなかつけない。母方の叔父には炭鉱の爆発事故で死んだ人もいてとにかく過酷な環境だったということがわかります。孫氏も朝鮮人だとと言われて石を投げられて今も頭に傷が残ってるそうだ。人のふりみてわがふり直せなのか、掃き溜めに鶴なのかわかりませんが彼らと比較して孫氏のなんと上品なこと。私はてっきりどっかの坊っちゃまなのかと思っていました(^^; まあ、祖先をたどって行くと中国の官僚にあたる名家ではあるそうなのですがね。彼の打たれ強さはそんな境遇で育ったことと無縁ではないでしょう。最強レベルの胡散臭い人たちが周りにゴロゴロしていたのですから(^^; ちなみに孫氏は4人兄弟だそうですが4番目の泰蔵も優秀な人物。東大を出て、現在あのパズドラのガンホーの社長だそうな。映画にしたらジョブズ以上のドラマチックな物語になるでしょう。だれか「あんぽん」を映画にしないかい?
 たぶん書かれたくないこともいっぱいあったでしょうが、孫氏は佐野氏の取材に何度も応じ、記事に何の文句もつけなかったようです。一方であの橋下は第一回の連載で大騒ぎ、連載を中止に追い込んでしまいました。これぞ器の違いというものでしょう。
 ”あんぽん”とは小学生時代の孫氏のあだ名。在日だった彼は朝鮮名ではなく”安本”という姓を名乗っていました。これを音読みにしたのが彼のあだ名だった。在日であることをずっと隠していた彼でしたが米国留学で新しい価値観にふれ、帰国後本来の”孫”姓を名乗るようになった。親族らには反対されたが彼は頑として譲らなかった。
 現在は日本国籍を取得し日本人になっている孫氏ですが、ここにも面白いエピソードが。彼はもちろん孫という名前で日本国籍を取得しようとしました。しかしお役所は”孫”という名字は前例がないからダメと言ったそうです!ここでめげないのが孫氏。かれは日本人の奥さんの名字を”孫”に改名。後日お役所を訪れ、”孫”という名字があるはずですということで出てきたのが奥さんの名前。役所はぐうの音も出ず”孫”という名字で日本国籍が取得できたそうです。まるで一休さんのとんち話みたいですが、彼の打たれ強さと機転のききの良さを物語っています。
 孫氏がここまでのし上がってきた秘訣はなんでしょう。頭の良さと打たれ強さに加え、目利きがあることもその要因でしょう。ソフト卸に目をつけたのが最初の目利き。また、あの一太郎を見出したのはソフトバンクだったそうな。ブロードバンド事業に、yahoo、携帯電話事業。もちろん失敗もありますがその時は傷が大きくならないようにサッと手を引きます。これもトップダウンだからできるスピードなのでしょう。
 佐野氏は本の世界の人間だからでしょうが紙媒体の本を否定されるとカチンとくるようです。孫氏の持論の1つに紙の本は近いうちに無くなるというのがあります。その根拠は人間がその人生で読める文字数以上のデータを手持ちのメモリーカードに入れることができるようになるから、わざわざ紙に刷って持つ必然性がなくなるというもの。佐野氏はそれに対して本はグーテンベルクが発明してナンタラカンタラ...という本のロマンのような持論を展開しています。私も紙の本が全く消えることはないとは思いますが、フィルムの写真が消えていったようにいつの間にか身の回りからは無くなっていくものだと思う。今読む必要もないのに本棚に入れて場所をとるなんてよく考えればナンセンス。少なくとも佐野氏の生きてるうちに消えることはないでしょうがね。
 本著執筆時点ではエネルギー事業を孫氏が次の事業の柱と考えていると佐野氏は見ています。震災、原発爆発後の孫氏の動きは際立っていました。いわゆる財界で”脱原発”とはっきり言っていたのは彼ぐらいです。もう誰が見たって原発なんてオシマイなのに周りを見回してモゴモゴしているのが今の日本の財界であり政界なのです。父の三憲はそんな息子を見て心配になったそうです。在日がそんな目立つことをしたら刺されるぞ!というのが父のアドバイス。さすが修羅場を越えてきた人のことだけあり重みがある。それに応えた息子の返答は”脱原発で刺されるなら本望。私は死ぬまで原発に反対する。”だったそうです。ちょっと芝居じみたところもありますがこれが孫正義なのです。
 というわけで今後の孫氏からますます目が離せない。pepperからも目が離せない。
(★★★★☆)

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