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読書な毎日(214)

 読書はしているが感想文がなかなか書けなくなっとる。これはいかん!けれど今回は超大作だー

【スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実】 ルーク・ハーディング
 エドワード・スノーデンによるNSAの諜報活動の告発を追ったルポ。この事件が核爆級の大事件とは認識していましたが、ニュース等では断片的な情報で全体像が見えていませんでした。それが本書を読んでつながった。思っていた以上の内容で、世界史の転換点となる告発と言っても良いぐらい。
 スノーデンはアメリカ人で、真性のハッカーと言ってもよい人物です。コンピュータやネットワーク暗号化などのセキュリティ技術に精通。しかし、彼はずっとNSAの正職員ではなく契約会社からの派遣という形で働いています。これほどの重要機密にアクセスできる人物は正職員としてガチッと雇っておけばいいと思いますが、アメリカも日本同様に本当に技術的なことに精通している人は正職員にはいなくなっているのでしょう。彼らは内部的な事務作業や会議、権力闘争に明け暮れていて技術的なことを勉強している時間がないのです(^^; 現場はどっかで見つけてきたエンジニアに任せて丸投げ。彼らが何をやってるのかも、ほとんど理解していない。先日の日本のベネッセ事件もレベルは全然違いますが似たようなもの。
 スノーデンはずっと共和党支持者で、志願して軍隊に入っていたこともあるリバタリアンです。そんな彼が告発に至ったのは911後の米政府及びNSAの無軌道な権限拡大が目に余るようになったから。これは合衆国憲法修正第4条のプライバシー権に違反している!とスノーデンは考えたのです。
 少なくとも米国も911までは節度を持って監視活動をしていました。令状がなければ捜査(盗聴)できないし犯罪に関係ない人の情報の保存もしていません。ところが911の脅威につけこみ権限をどんどん拡大していったのがNSAを中心とした米諜報機関でした。スノーデンも敵国(ロシア、中国、イランなど)への諜報活動は否定していません。彼が問題視しているのは、ドイツやカナダなどの同盟国や国連などの国際機関への諜報活動。そして自国民アメリカ人への諜報活動です。
 NSAは通信会社やmicrosoft、google、facebook、apple などと通じていて、ルート権限で彼らのシステムにいつでもアクセス可能。電話や電子メールの通信記録は基本全部保管して交友関係をマッピングするシステムを保持。通話内容やメール本文も見ようと思えば見ることができます。また、大手暗号会社の発行する暗号キーには意図的にバックドアを仕込み、暗号化していても盗聴できるようになっているのです!安心のグリーンバーは盗聴OKの青信号だったというわけだ(^^; 携帯電話に関しても通話はもちろんのこと、携帯電話自体を盗聴器に使うこともできるそうだ。だからスノーデンは携帯電話を極度に警戒し、彼と話すときは携帯電話は持ち込み禁止。PC自体も同様で盗聴装置になり得るのでオンラインはご法度。データのやりとりはUSBメモリか自身で作成した暗号キーによる通信しか許しません。
 今まで都市伝説か陰謀論のように語られてきたエシュロンでしたが「PRISM」という名前で実在していたのです。しかもエシュロンとされていたものより広範で強力なもの。日本では青森の三沢基地がその拠点と言われていましたが正にビンゴ!スノーデンも一時期三沢にいたというのですから火のないとこに煙は立たぬとはこのことだ....。海底ケーブルの盗聴もがっつりやってまっせ。しかも通信機器メーカーや通信会社はパートナー企業よろしくがっちりタッグを組んでお金もらって盗聴の手助けしているのだから驚きです。彼らには通信事業者としてのモラルなんてものは何にもないのだ.....。
 同盟国の首相メルケルの携帯電話を何年にも渡って盗聴していたというのも驚きです。彼女はシュタージの東ドイツ出身だそう。シュタージの再来というかなんというか....メルケルも驚きというよりかあきれていることでしょう。NSA側の言い訳がふるっています。欲しい情報がったあった訳ではない(スパイ目的ではない)が、できたからやっちゃった...。個人的な目的で盗聴している職員もいました。例えば彼女の会話を盗聴したり...。つまり彼らに武器を持たせると必要なくとも使うのです。一方日本の話はほとんど載っていません。もっとも盗聴するまでもなく、情報をどんどん送ってくれるのが日本なんでしょうから(^^;
 スノーデンは本件を暴露する数年前にはこのNSAの所業を告発するという目的で行動をはじめています。彼もブッシュのときにはじまったこれらのプログラムがオバマに変わったら改められるのではと期待していたそうです。しかし、オバマはこれをそのまま引き継いでしまった。もう米国は変われないだろう。この一大事件はスノーデンの思いつきでパッとやった話ではなく彼の周到な準備と計画、そして決意があったから達成できたものなのです。米政府内にも正規の内部告発ルートというものがあるそうです。スノーデンの前にもこの正規のルートを使って告発した人がいましたが、なんと彼は守られず裁判にかけられ牢屋に入れられてしまいました。また、アサンジのウィキリークスに情報を提供したマニング上等兵も結局バレてしまい彼も牢屋です。米国が問題あることをやっているから告発しているのに結局は牢屋なのです。米国内でどんなに準備して告発しようが結局は足がついてしまう。それは諜報側にいたスノーデンが一番わかっていることでした。だから彼は香港からこの告発劇を行った。それは両親も彼のガールフレンドも米国との縁も切ってしまうという覚悟の上です。その使命感はすごいものです。
 この告発劇を演出した側にもドラマがあります。スノーデンの情報を世界にインパクトのあるニュースとして伝える媒体がやはり必要でした。まず、スノーデンがアクセスを試みたのはブラジル在住の著名な米国人ジャーナリスト グレン・グリーンウォルド。しかし、彼はITにあまり詳しくなく通信を暗号化してほしいと要求するスノーデンの言ってる意味がわからず、そのまま放置してしまう!しびれをきらしたスノーデンはアクセス先をドイツ在住の米国人ドキュメンタリー映画監督のローラ・ポイトラスに変更し彼女とのコンタクトに成功。世界は狭いもので、ポイトラスはクリーウォルドとつながっていた。更にここに英国のガーディアン誌が加わり世紀の告発劇となった。しかし、物語はまだ終わらない。米政府、そして英国政府の圧力があり、スノーデンは香港に滞在できなくなり脱出。南米に渡ろうとするも米国パスポートを抹消されモスクワのシェレメーチエヴォ国際空港に留め置かれますが、ロシアから滞在許可が出て現在も彼はロシアにいます。彼は現状祖国を失いどこにも行けない人になってしまいました。
 彼はロシアにいますが、ロシアが正義というわけではもちろんありません。ロシアも米国並に自国民を監視しています。しかし、米国の息のかかった国に移動すれば彼はすぐに捕まって牢屋ですからロシアにいるしかないのです。スノーデン逃走劇をウィキリークスのアサンジも手助けしているのですが、彼の状況も似たようなもの。アサンジは現在、ロンドンのエクアドル大使館から出れない状態になっています。出れば捕まって牢屋。
 日本でもスノーデンは一応誰でも知っていますが、彼がやったこと、NSAがやっていたこと。何が問題とされているかを理解している人はほとんどいないでしょう。なぜなら日本が米国の属国で及び腰でしか報道できないからです。「Citizenfour」というポイトラスが監督のスノーデンのドキュメンタリー映画が欧米で公開され話題になっています。しかし、おそらくこの映画は日本で公開されないでしょう。なぜなら、これはたぶん日本の特定秘密にあたるからです(^^; 冗談ではなく日本はそういう段階にきちゃってます。
 そんなわけで、PCはlinux電話はfirefox phone。暗号キーは自分で生成するというのが市民として自己防衛する方法なんです。私は悪いことしてないから盗聴されても問題ないさ!ってあなた。スノーデンとかアサンジはなんか悪いことしたのかな?彼らは政府の意に沿ってない不都合なことを公開したから追われているのです。ビッグブラザーの一員で問題ない人はどうぞ今まで通りマイクロソフトとかアップルを存分に使ってください。
 こんなに書いてもまだ書きたりない気がしますがこれはそれだけ重要な事件ということです。このネタを映画にしようとしているオリバー・ストーンには敬意をはらいたい。しかし、まだ映画化するまでは幾多の困難があることでしょう。敵はなにしろビッグブラザーだからね。
(★★★★☆)

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