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読書な毎日(213)

【ハイリスク・ノーリターン】 山口 祐二郎
 東電勝又会長宅前で抗議のハンストした青年の半生記。twitterでフォローもしていましたが本著を読むまでは著者がこんなにいろんな経験をしていたとは想像もつかなかった。まだ27才だそうですが普通の人の一生分以上のことをやっている。たまげた。
 彼の学生時代はいじめられっ子。強くなりたいということで合気道をはじめのめりこみ有段者に。飽き足らずストリートファイターとなるが格闘で強くなることに一区切りつける。次はロックにのめり込み新聞配達をしながら音楽学校へ。しかし芸能界の縁故主義を目の当たりにし、街頭で遭遇した統一戦線義勇軍、針谷大輔氏の右翼活動に傾倒。新聞配達はやめようとするがやめられない契約になっていた。米国迎合の日本政府に怒りを覚え日経の新聞配達員の身分のままで防衛庁を火炎瓶襲撃し収監。刑期を終えた後も右翼活動を続けつつホストとなり店の売上NO2までなるがやめてヒモになる。右翼活動をする中で震災が起こる。東電の対応に怒りを覚え勝又会長宅へ。現在もヘイトスピーチのしばき隊として活躍中。
 日経配達員の火炎瓶事件は私も覚えていますが、あれがこの山口さんだったとは!針谷氏もよく見る名前ですがそこの構成員でもあったのですね。そういったベースがあってのハンストだったわけで、どうりで肝が座ってるわけだ。
 本著には興味深いエピソードも数多く載っています。右翼と警察の関係がその1つ。右翼と言ってもいわゆる親米右翼と反米右翼がいます。統一戦線義勇軍や鈴木邦男の一水会は後者になります。こちらが本来なら正統派の右翼にあたるものですが、日本で目立っているのは前者の親米右翼です。この親米右翼は警察(公安)とも日本政府とも近い位置にあり、左翼や日教組、市民勢力、中国・朝鮮系を敵視していて攻撃的です。街宣車を走らせてがなっているのは彼らです。これらに加えて最近は特に北朝鮮に対して先鋭的なネット右翼という勢力もいます。
 右翼活動をしていると言うと資金力があると思われるそうですが、反米右翼は全然金がないそうです。私も針谷氏は大物で有力者かと思っていたのですが、本著によるとタクシー運転手として働き街宣活動をしているそうだ。どこかから金もらうとやりたい活動ができなくなるから自分で稼ぐ。なんとカッコイイ活動家なんだ。一方の親米の方はどうやら国家とズブズブの関係にある。飲ませ食わせ活動資金もあたりまえ。彼らがいて問題が起こりそうなときはどっか消えてろということでバカンス代まで出してくれる。噂には聞く話であったがここまでとは。
 新聞配達員の話も興味深いとうよりヒドイ。新聞奨学生というのありますがこれはお金のない若者を奴隷のように使うに似た制度のよう。学費を前借りして新聞配達させるのですが、学校を退学して授業料を新聞屋が収めていなくても働かなければいけない契約になっている。山口さんは何度も日経本社に抗議に行くが、これが契約だの一点張り。火炎瓶を投げるまで日経は開放してくれなかったのだ(^^; しかし、これが言論とか人権を高らかにうたってる新聞社のやることなんだろうか?
 火炎瓶というのも私のボキャブラリーに無かったものだが、これは投げなくともつくったり所持するだけで犯罪になるそうだ。それだけ、国家が恐れてる武器ということなんでしょう。ワイン瓶で火炎瓶をつくるあたりが山口さんらしてくオシャレ。
 国家は彼らのような本物の右翼を恐れているのでしょう。右翼と左翼、市民が手を結んで現在の官僚と財界と米国を中心にした国家体制を転覆することを怖がっている。だから右翼の一部を切り崩して親米にし、左翼勢力と対立させている。この状態は正に三島由紀夫が自決したときから何も変わっていない。それでも一億総中流政策がうまくいっていたときは庶民の満足度がそれなりに高かった。けれど米国が弱り、引きずられて日本も弱くなり一億総中流が維持できなくなりつつあるのが今の日本の姿だろう。
 しかし、著者は27才でここまでのポテンシャルを持ってるとは末おそろしい!ある意味すべて経験済みだし失うものも怖いものもなしの最終型、スーパーサイヤ人みたいなものだ。文章は読みやすく肩の力が抜けているが迫力もある。格闘シーンはひきこまれて電車を乗り過ごしてしまったよ。
 あとお父さんもかなりの大物。彼が何をやってもニコニコして受け止めている感じ、これはなかなかできない。とにかく、これから混沌とした日本になるのだろうがそういう時代に山口 祐二郎は必要な人物だろう。本著は実はまだ第一章にしかすぎないのかもしれない。
(★★★★)

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