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読書な毎日(212)

【普天間基地はあなたの隣にある。だから一緒になくしたい。】 伊波 洋一
 著者は元宜野湾市長で前回の沖縄知事選に出馬し惜しくも落選しました。私も名前は知っていてツイッターでもフォローしてはいましたが伊波さんのことをよく知りませんでした。本作は沖縄旅行の予習で昨年末に読んだのですが、実は沖縄の基地についてもほとんど知らなかったというのが本著を読んでよくわかりました。
 沖縄に米軍基地はたくさんありますが多くはもともと人が住んでいた場所だったのを住民を立ち退かせ、ブルドーザでならして米軍基地にしたもの。この普天間もそうで今基地のあるあたりは宜野湾市の中心街だったそうだ。立ち退かされた住民は基地周辺の狭い土地に押し込められ70年たってもそのままなのです。基地に使われている土地は”軍用地”と呼ばれています。軍用地は交渉の末、借地料が日本国から払われています。その額は年間900億円。沖縄で”軍用地求む”という看板があり、あれは何だろうか?と思っていたのですがこの軍用地は確実な定収が得られるということで売買されているそうなのだ。この軍用地をめぐって借地料をもらってる人とそうでない人の間でトラブルもあるそうだ。
 本土の米軍基地は元日本軍の基地だった場所がほとんどで民間人の土地が基地になってる場所というのは今はないですが、沖縄にはまだたくさんあるのです。そもそもの話ですが、独立国に外国の軍隊が半永久的に駐留しているのはおかしなことなのです。つまり事実上日本はまだ米国の植民地ということなのだろう。
 普天間基地は土地収用も問題ですが危険度でも大きな問題を持っています。世界一危険な基地という称号もあり、基地と住宅地が隣接して建っています。これは米国の航空法も満たさないし日本の航空法も満たさない違法状態の基地。ヘリが大学に墜落した事故は記憶に新しいですが、米軍もこの基地だけはできれば使いたくないのでしょう。それなら基地を返却すれば済むはずですが辺野古に新しい代替基地をつくるというのですからおかしな話です。
 伊波さんは新たな海兵隊の基地が不要であることを調べて示しています。米軍は沖縄に駐留する海兵隊をグアムに移転する計画を進めています。日本国内の基地はいろいろ使いづらいがこれ以上拡張するわけにもいかないのでグアムに基地をつくる予定なのです。海兵隊の家族もみんなグアムに引越。その引越費用とグアムの基地の建設費まで日本は出すことになっています。なんで、それなのに普天間はそのままだし、辺野古に基地をつくるんでしょう。本当におかしな話です。
 私が推測するに、官僚や自衛隊が米軍をひきとめようとしているのでしょう。彼らは米国という虎の威をかって偉そうにしているから米軍がいなくなっちゃうと困るのです。
 伊波さんは知事選落ちてしまいましたが、重要な政治家です。知事選のあとに再度出馬した2012年の宜野湾市長選に僅差でなぜか落選しています。まだ若いですから今後も活躍してほしい。
(★★★★)

【基地はなぜ沖縄に集中しているのか】 NHK取材班
 NHKの番組の取材を通してできた著書。沖縄の基地問題についてよく調べてありはじめて知る話も多かった。先に感想書いた伊波さんの著作に重なる部分も多い。
 なぜ基地が沖縄に集中しているのか。一言で言えば、戦後も日本の捨て石に沖縄がされたからです。敗戦後、日本軍の基地は占領した米軍にわたりました。日本各地の基地が米軍基地となったのです。1950年のサンフランシスコ講和条約で表向き米国の占領が終わり、本土の米軍基地は徐々に返還されはじめましたが返還されず紛争が起きる地域も多かった。そこで沖縄に代替の米軍基地を用意し、1950年以降むしろ沖縄は米軍が増えていった。また、現在問題になっている普天間基地の海兵隊は戦後日本にはいなかったが米国から移ってきた部隊だというのです。なんで沖縄が米軍にとって有用かと言えばそれは基地が集中しているからです。部隊が集まることによりいろんな訓練ができる。森もあるし海もあるので様々な訓練ができる。また、リゾート地としての沖縄も大きな魅力なのです。
 しかし、そんな素晴らしい沖縄から最近米軍が出ていこうとしています。海兵隊がグアムに移転するのは規程路線。これは何故かと言えば、1)県民の基地反対感情が大きいから 2)これ以上基地(訓練施設)の拡大が見込めないから 3)まがりなりにも他国なので、米国以外の軍隊が一緒に訓練できない。4)憲法9条とか非核三原則とか邪魔なものがあるので、好きに核兵器持ち込んだりドッカンドッカン派手に訓練ができない。
 それでグアムなのですが、それを基地をつくるから出てかないで!と引き留めているのが日本の外務官僚であり防衛省というのが現在の構図です。彼らは米軍という後ろ盾がいなくなると困るのです。どんだけ属国根性なんだか。
 軍隊の普段の仕事は何かと言えばそれは訓練(戦争ごっこ)なのです。戦争なんて滅多に起きません。つまり訓練しやすいことが彼らにとって良い基地なんですね。今の海兵隊はグアムに理想の基地をつくることに燃えています。今更制約の多い沖縄に基地はいらないのです。
 先の感想文に書いた軍用地問題は本著の方が詳しく書いてあります。私はじめとしてヤマトンチュはほとんどこの問題について知らないだろう。報道も全くされません。つまりタブーなんだね。
 基地と地元の関係については日本と米国では全く違うようです。米国にある米軍基地は地域の人たちと定期的に会合をもち、訓練の予定などを連絡するそうです。ところが日本の場合は全く違います。訓練の予定が連絡されることは一切なく。突然、発着訓練や実弾訓練がはじまったりします。聞いても教えてくれないから抗議するだけ。オスプレイもどこで訓練するかわからないから”○○で目撃されました!”なんてニュースでやっている。UFOじゃあるまいし(^^; こんだけバカにされてるというのに、今だに”米軍出ていけ!”って言わない日本人ってどんだけお人好しなんだか。今も米軍基地が日本にあるという状況がおかしいと思わないことが平和ボケなんです。
 鳩山総理のときはやはりチャンスではあったんだよね。ひっくり返されたけど。まあ、とにかく米軍もそれほど沖縄にこだわらなくなってるようだし今の状態は長続きしないだろう。今や沖縄も米軍基地を必要としていない。
 本著が出版されたのは311後ですが番組が放映されたのは311前。どちらも素晴らしい仕事だと思うけど、最近のNHKはこの頃のNHKではなくなってきているように思うのは私だけだろうか。
(★★★★)

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