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新最近みた映画(120)

【精神】 想田 和弘
 観察ドキュメンタリー映画第二弾。山本昌知医師が開いている精神科診療所“こらーる岡山”を訪れる人々を追ったドキュメンタリー。10人程度の患者が入れ替わり立ちかわり、時には一緒に登場する。比較的年配の人が多いがある意味普通の人たち。そもそも精神病とそうでない人の違いはなんだろうか?普通という基準は実にあいまいだが、精神病院に通わないと生活が送れない人が精神病なのだろう。
 こらーる岡山は山本医師が背負ってるような診療所。彼がいるから患者がやってきます。精神病の治療は投薬とカウンセリングがあるのでしょうが、本作はカウンセリングがメイン。山本医師は聞き役で、中には本当かウソか、すごい告白をする人もいます。精神科医というのも実にたいへんな仕事でなかなか勤まるものではない。
 彼らを被写体にドキュメンタリーを撮るというのもたいへんなことだったろう。なにしろ自殺のフチに足をかけてる人たちですから。撮ることによって背中を押してしまうこともあるでしょう。
 本作に出てくる人はどちらかと言えばなんで精神病院に通う必要があるのだろうと思えるような人たちだった。精神病と言うと、オリに閉じ込められて奇声をあげてるようなイメージがかつてはあったが、最近は身の回りにも精神科にかかっている人がたくさんいる。精神病を隠す必要がなくなってきたとも言えるのだろうが、むしろ日本も強ストレス社会になったということなのだろう。日本人は欧米に比較しても耐ストレス性が弱いと思う。なのにいままでの和の社会、なあなあの社会をぶち壊し弱肉強食の世界に移行してしまったからこんなありさまなのだろう。どうすればいいかと言えば中村敦夫さんではないが、slow small simpleなのだろう。日本はもう成熟社会なのだからガツガツしても弱者をいじめるだけになってしまう。強者がもっと弱者を助けなければいけないのだ。
 本作はもうけっこう前にDVDで見ました。けど、感想文を書いてなかった。関連書の「精神病とモザイク」もすぐに読んだのだがそっちの感想文もまだ書いてない。ちゃんと書かないとなと思ってるうちに時がたった。ずっとひっかかっていたのだが今書いた。なんかまだ書きたりない気がする。
(★★★★)

【誰も知らない基地のこと】 エンリコ・パレンティ、トーマス・ファツィ
 2010年に製作された伊のドキュメンタリーで原題は”STANDING ARMY”。監督の二人はイタリアのビチェンツァの米軍基地拡張運動がイタリアで盛り上がり世界の米軍基地、沖縄やイギリス領ディエゴガルシア島などの状況を調べるうちに本作になったということです。チャルマーズ・ジョンソン、ノーム・チョムスキー、伊波洋一、アレン・ネルソンなどのインタビューなども収録。
 イタリアでも米軍が基地拡張をしようとしているとは知りませんでした。日本だけではないんですね。ディエゴガルシアの話もひどいものです。住民をここが汚染された危険な地帯ということで追い出して基地をつくり、”穴場リゾートの基地です!”と米兵をリクルートしています。米軍はリゾート基地が欲しかったのだ!
 私は米軍横田基地のすぐ近くの武蔵村山で育ちました。基地はけっこう身近でしたがそれほど悪感情は持っていませんでした。しかし、普通に考えれば独立国に他国の基地が存在しているのはおかしなことです。自衛隊の存在以上に米軍が日本にいることは変。このおかしな常識を米軍だけが世界中で摘要しています。私が米軍基地が大きな問題であることに気がついたのは本作で登場しているチャルマーズ・ジョンソンの”アメリカ帝国の悲劇”という本を読んでから。米国は占領した場所に基地をつくりそれを恒久化する基地の帝国だった。
 沖縄の場合は地上戦があり、米軍が占領した後に市街地を破壊して基地をつくりました。その基地の多くがなんと!今もそのままなのです。戦後70年も返してくれないどころか新たな基地までつくろうとしています。この不条理に怒ることが普通だと思うのですが、政府もマスコミもいつも及び腰。いつになったら米軍はいなくなるのでしょう?
 しかし、本作でわかったように米軍基地問題を抱えているのは日本だけでありません。米軍に悩まされている世界の人々と連帯して運動するのが良いかもしれません。
 世界の迷惑施設である米軍基地を知るうえで本作は良くできている。たぶん多くの人はこのことを知らないでしょ?
(★★★★)

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