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読書な毎日(210)

【オーストラリア―多文化社会の選択】 杉本 良夫
 オーストラリア在住の社会学者の著作。オーストラリア予習で読みました。オーストラリアの印象ってあまり無かったのですが本著を読んで実際に行ったことにより親近感がわくようになりました。オーストラリア人って日本にもけっこう住んでるそうだ。実際、我が家の近所に住んでるし、保育園のお友達のお父さんもオーストラリア人だったりする。
 白人を見るとヨーロッパもアメリカもオーストラリアも同じに見えてしまうのですがけっこう違うようです。オーストラリアは地理的に言えば欧米よりアジアに近接しているわけで、彼らはむしろアジアの一員と感じている。元はアボリジニが住んでいた島ですが、白人がやってきて囚人を送る島となる。規模は違うが八丈島みたいだ。だから判官びいきが国民性になっているところがある。そうです、ウィキペディアのジュリアン・アサンジもオーストラリア人だよ。
 一方で原住民のアボリジニに対する白豪主義は負の面として知られています。アボリジニの土地を奪い、隔離し親から離して無理に同化させようとしますが、1975年に人種差別禁止法が成立。これ以降オーストラリアは多文化主義を前面に出して移民や難民を積極的に受け入れる国となります。おかげでカンボジア人やベトナム人が多い。
 選挙制度に関しては義務投票制を導入しています。投票に行かないと罰金(約2000円)をとられる。このおかげで投票率はなんと90%超とのこと。日本も是非とも導入してほしい。
 オーストラリア人は行って感じましたが実に大らかで細かいことを気にしません。そして親切です。多文化社会と言われるだけありいろんな人がいます。アジア人でも全く違和感なし。日本人も多い。物価は日本並に高いですが、日本が原発爆発して住めない国になったらオーストラリアはいいかも。たぶん難民として受け入れてくれるでしょう。オーストラリアはそうやって様々な国の難民を受け入れて大きくなってきた国なんです。日本とはその点が全く違う。
 オーストラリア人は近所づきあいしないわけではないが引っ越したからと言って近所に挨拶にまわったりしないし、町内会のようなものもつくらないそうだ。向かいに引っ越してきたオーストラリア人は挨拶に来なかったがそういうことだったか(^^; またオーストラリアのGDPはそれほど高くないが生活水準は高い。なぜかと言えば、自分でなんでもつくって無駄な出費をしないからだそうだ。私もこれ読んでからオーストラリア人見習ってトイレのロータンク修理を自力でやりました。完遂まで2週間ぐらいかかったけど(^^;
 著者は英語圏での日本人研究者として有名のよう。著者自身は日本人は嫌いではないが”日本”というシステムが嫌いでオーストラリアに永住するようになった。二人の娘もオーストラリア在住で結婚もしている。官僚が支配し原発という時限爆弾を仕掛けた日本という国はもう捨てちゃってもいいかもね(^^;;
(★★★★)

【日本が破壊する世界遺産―日本の原発とオーストラリア・ウラン採掘】 伊藤 孝司
 オーストラリアではウランが採掘できますが原発はありません。そしてオーストラリアのウランの大半は日本に輸出されています。もともとウランはオーストラリアでは重要視されていませんでしたが、原発が稼働し資源として注目されるようになりました。ところがその有力鉱山の多くがアボリジニの土地でありオーストラリアの国立公園内にあった。日本の電力会社と商社そして政府は必死にロビー活動を行いここで採掘できる権利をゲットしたのだった。
 ウランを掘ると大量の残土が出ます。また精製過程でも大量の廃棄物が出ます。それらはあたりまえですが核廃棄物です。何万年も有害です。つまり原発が動くとオーストラリアの環境も破壊していることなるのです。川上から川下まで汚染をまきちらすろくでもないエネルギーが核。こんなエネルギー使うのは一刻も早くやめるべきです。
 オーストラリアはウランが採掘されるのになぜ原発がないか。それは単純な話。反対運動があったこともありますが、コストがかかるから。オーストラリアは石炭や石油がとれるのにわざわざ金がかかって危険なウランを使う理由がないのです。
 本著は日本の原発とオーストラリア・ウラン採掘の関係を扱った数少ない著作。日本でウランが掘れるとか、リサイクルしてるとか勘違いしている人は今も多いのだろうか?
(★★★☆)

【オーストラリア入門】 竹田 いさみ,永野 隆行,森 健
 オーストラリア入門というより百科事典的な本。歴史、政治、文化、経済、自然などなんでも載っているので全部読まないで興味あるとこだけ読んでもいいでしょう。私が読んだのは第二版で2007年に出版されたものなので内容も比較的新しいです。本著はオーストラリアに行く前に半分ぐらい読んで帰ってきてから全部読みました。
 オーストラリアは元はアボリジニの国でしたが白人が入ってきて土地を奪っていきました。米国と似ている。しかし、ヨーロッパから遠すぎるため米国のように産業を発展させる方向にはいかず人口もそれほど増えずある意味平和な国です。産業としては観光業と鉱業が今も中心となっています。資源は豊富で世界に輸出しています。牛肉や穀類、ワインも有力な輸出産業となっています。オーストラリアではほぼオーストラリアワインしか売っていませんでした。ワインの値段は他の物価に比べてかなり安め。牛肉に関しては日本人は肉の好みが違うので日本人用の牛を飼育している(牧草でなく穀物を主エサにする)。オージービーフとか言って日本人は喜んで食べてるけどあれは日本向けオージービーフなのだった(^^;
 映画の話もけっこう書いてあります。最近はオーストラリア映画もそれなりの地位を確保していますが、はじまりはやはりメル・ギブソンのマッドマックスだね。アボリジニの分離政策を描いた「裸足の1500マイル」は私も見て印象に残ってる映画ですが、オーストラリア的にも重要な映画だったようだ。
 日本との関係で言うと第二次大戦の際にオーストラリアに日本軍が空爆し捕虜を泰緬鐵道で強制労働させたくさん殺したという暗い過去があります。その割にオーストラリアは日本に親近感を持っており、貿易面でも輸出の1位が日本です。ありがたいことです。日本とオーストラリアの結びつきはけっこう深いのです。
 とにかく、オーストラリアは行ってみてけっこう気に入りました。今回はケアンズでしたが機会あれば別の都市にも行ってみたい。
(★★★)

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