« 保育園の入所予約制度のくじ引きに関して | トップページ | ハシズム現象に関して »

読書な毎日(204)

【ウィキリークスの時代】 グレッグ・ミッチェル
 ウィキリークスの創始から昨年末の米公電リークそしてアサンジ訴追までのあたりのルポ。日本ではあまりとりあげられないウィキリークスですが、ジャーナリズムにとってある意味の革命だったのがウィキリークスだったわけだ。これを認識しておかないと世界から日本は取り残されるんだろうな。今だに記者クラブにこもってるようでは絶望的かもしれないが、日本のマスコミをそのうちみんな相手にしなくなるかもね。
 ウィキリークスの何が新しいかと言えば1番は情報提供者の匿名性をまもることを第一義として掲げそのシステムをつくったことです。一般的なマスコミもまもることが期待できますが所詮その人次第と言えます。ご存知の通り、匿名掲示板や投稿サイトはあっさりと当局に情報を渡してしまうので匿名でもなんでもありません。
 2番目はメディアを巻き込み情報を小出しにすること。リークを一気にサイトに掲示したところで一般の人はそれをなかなか読もうともしないし、出したときは騒がれたとしても一気に風化していきます。既存メディアにリークし彼らに解説記事を書かせた上で徐々に公開し一般の興味をひきつけるのです。また、現在話題になっているネタに関連した情報を選んでリークさせます。このことによってリークはより破壊力を持って伝播するのです。
 ウィキリークスを最初に有名にしたのは、イラク戦争でのアパッチ戦闘ヘリのガンカメラの映像でした。民間人や子どもロイターの記者を攻撃し、殺害する映像。これを公開することによってウィキリークスは世界的に有名になる。この時点ではウィキリークスを批判する人たちもあったが、”表現の自由”を尊重しウィキリークスを好意的に論評する方が多かったようです。しかし、これに続いて行われた米国の公文書で風向きは一気に変わります。特に米国ではテロリスト扱い。日本でもこの頃からウィキリークス関連の報道が増えてくるが米国の属国の日本の論調は米国に同じ。アサンジはノルウェーでハレンチ罪で訴追されます。政府だけでなく、ウィキリークスのサイトをホスティングしていたAmazonはサイトを停止させ、ペイパルやマスターカードなどの決済会社はウィキリークスへの決済を停止します。しかし、マスコミはこれをほとんど批判しない。アメリカの表現の自由のダブルスタンダードが露になったのです。これに対抗し、ウィキリークスのミラーサイトが世界中に立ち上がりました。
 これらのリークは一人の米兵ブラッドリー・マニングによってされたとされています。同じ時期、日本ではsengoku38さんがyoutubeに漁船衝突映像を無造作にアップして祭り上げられていました。違う世界の話のようだ。
 ガンカメラの動画は私もこの本読んでから見ましたが、確かにひどいものです。町を歩いている人とカメラを持っている記者をまとめて遠隔から射撃。しばらくして救出しようとしたバンを射撃、そのバンには子どもも乗っていたのです。これが戦争と言えるのでしょうか。現実感のなさはまんまテレビゲーム。
 ウィキリークスは1つのジャーナリズムの形態になるだろうと本著は言っています。もし、仮にウィキリークスが消えても、同様なサイトが既にいくつも生まれています。既存のメディアもウィキリークスを真似たサイトを立ち上げています。紙の時代と違い情報は一瞬で世界に伝播し、無限にコピーもされます。むしろ今までのやり方のジャーナリズムでは対応できなくなっているのです。
 一方の日本は相変わらず記者クラブという既得権益集団をつくり情報を統制しようとしています。今回の原発震災でそれも綻びを見せています。いくら日本が情報ガラパゴスでもこの状態を長く続けることは困難でしょう。日本にも遅ればせながらウィキリークスの時代がやってくるのです。
 本著はウィキリークスにまつわる出来事を時系列でルポしていて一読すれば今につながる流れが見えるようになっています。ウィキリークスっていったいなんだろう?と思っている人は読んでみるといいでしょう。
(★★★★)

【ボルネオ島アニマル・ウォッチングガイド】 安間 繁樹
 ボルネオ島の哺乳類に関して書いた本。ボルネオ旅行の予習で読みました。著者は世界自然保護連合種保存委員会(IUCN・SSC)ネコ専門家グループ委員だそうで、哺乳類系の専門なのでしょう。鳥や虫、魚などへの言及はまったくありません。というわけでややアンアバランスな感じもするのですが、哺乳類に関しては詳しく書いてあります。
 国立公園のガイドと主な哺乳類に関して、自身の体験を織り交ぜつつ書いてありなかなか面白いです。ネズミ、コウモリ系の動物がたくさんいるようです。象やオランウータンもいます。固有種としてはテングザルなんてのもいるようですが、そういうのは密林に踏み込まないと見れないのだ。ちょっと変わった動物もいるのですが”ヒヨケザル”っていうムササビみたいな動物が気になる。これも見ることはできないのでしょうが、飛んでるとこが見たいなあ。
(★★★)

|

« 保育園の入所予約制度のくじ引きに関して | トップページ | ハシズム現象に関して »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 読書な毎日(204):

« 保育園の入所予約制度のくじ引きに関して | トップページ | ハシズム現象に関して »