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読書な毎日(199)

【日本赤軍私史 パレスチナと共に】 重信 房子
 日本赤軍リーダだった重信 房子の手記。彼女は2001年に大阪で逮捕され、現在日本の刑務所に収監中。裁判の容疑は主に2つ。逮捕時に持っていた自身の偽造パスポート(これは本人も認めている)。1974年のハーグのハイジャック事件の共謀容疑。これはつい先日結審し、懲役20年という判決が出ています。彼女自身は日本国内の事件には関わっておらず、日本の警察(自民党)が見せしめ的に逮捕し重い刑を言い渡しているように見えます。
 本著はかなりの文量の力作です。著者の生い立ちから、パレスチナ闘争の歴史の一連の流れが無駄なくつづられています。非常に簡潔に書かれてはいるのですが、パレスチナ闘争の歴史は複雑なのですっかり吸収できたわけではありません。けれど、今まで点として知っていた事件などが本著を読んで見事につながりました。パレスチナ関連の本を今までたくさん私は読んでますがこれほどまとめられている本はないのではなかろうか。すなわち、日本赤軍の歴史はパレスチナの近代史でもあるのです。
 日本赤軍というとあさま山荘事件を連想してしまいますがあちらは連合赤軍で組織としては一応別物です。連合赤軍は日本国内の組織で警察に有力者をほとんど逮捕され、その残党があさま山荘に追い込まれ壊滅。重信らはそのときパレスチナに渡っていてそのまま日本には帰らずパレスチナ解放運動に合流し、日本赤軍を名乗る。3人の日本人兵士が死んだリッダ事件を起点に日本赤軍は世界に知られるようになります。日本赤軍の当初の目標はパレスチナ解放でその手段としての武装闘争を容認しています。それもパレスチナの地では仕方なかったのでしょう。イスラエルは正規軍はもちろんのこと、暗殺という手段も頻繁に使います。拷問や集団虐殺も普通のこと。それに対向するのはやはり武力だったのです。しかし、東西冷戦が終わりいわゆる東側の力が衰えることによりバランスが崩れ始めます。イスラエル米側には武力や財力で全くかなわなくなるのです。また、世界的にも武力闘争が理解を得られないようにもなり、日本赤軍も路線を変更。政治的な工作をするようになります。パレスチナの解放運動もインティファーダと呼ばれる民衆蜂起が中心となっていきます。
 2001年に重信氏が逮捕され日本赤軍は解散となりますが、後年の彼らは日本国憲法9条を掲げての武力放棄・戦争放棄、金権政治自民党の打倒、帝国勢力(米国・イスラエル)の打倒を訴えています。日本の報道だとテロリスト集団のような扱いですが、左翼陣営の視点からするとかなりマトモです。この内容なら日本政治でも一翼を担えたのかもしれなかった。
 本著のタイトルは私史となっていますが、自己主張だけではないかなり抑制のきいた内容となっていて、重信氏の人柄と知性の高さがうかがわれます。もっと早く出所できれば、彼女は日本でも有力な言論人として活躍できるでしょう。彼女を捕まえた自民党は既に倒れています。容疑はいいがかりに近いものですからもっと早く出せないものかね。民主党のみなさん。
(★★★★☆)

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