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読書な毎日(198)

【facebook 世界最大のSNSでビル・ゲイツに迫る男】 ベン・メズリック
 世界最大のSNS facebookの誕生物語。映画「ソーシャル・ネットワーク」の原案本。マーク・ザッカバーグ、彼は大学2年生当時目立たないコンピュータギークだった。ある日彼は1つの案を思いつく。ハーバードの学生の女の子の顔を並べて比較したら面白いのではないだろうか。彼は複数の学生寮の写真データをサーバからハッキングし、facemashという顔比較サイトをつくりあげる。せっかくできたサイトを友人に見てもらうためメールしたところ、一気にこのサイトの存在がハーバード中に知れ渡る。面白がった人もいたが、問題となり学校からもおしかりを受ける。そんなことで有名になってしまったザッカバ-グのプログラミング能力に目をつけ、先輩学生のウィンクルボス兄弟が近づいてくる。彼らの構想するSNSをつくって欲しいと言うのだ。ザッカバーグは面白そうと思い引き受ける。しかし、自分が本当につくりたいSNSはウィンクルボスの案とも違うことが明確になり、独自のSNS構築をはじめる。ウィンクルボスからの催促には適当に返事をしながら彼は自分の作りたいSNS "the facebook"を優先させるのだった。もし、このサイトをOPENするとなるとそれなりのサーバを用意する必要があった。しかし、ザッカバーグには資金がなく自分が所属するハーバード内のユダヤ人コミュニティの友人、エドゥアルド・サヴェリンにお金を工面してもらう。本作ではサヴェリンがもう一人の主人公といった感じになっている。サヴェリンはコンピュータに詳しいわけではないが、投資の才と社交性を持っていて、ハーバード内にある社交クラブ「フェニックス」のメンバーとなる。「フェニックス」とはエールの「スカル&ボーンズ」のようなもので、上流階級であるか、何か秀でた才能と社交性を持っている人間が入れるコミュニティなのだそう。ここに入ると、以降の人生の成功(お金持ち)は約束されたようなものになる。the facebookはそのサイトの独創性もあったが、このサヴェリンの人脈を活かしてハーバード内に一気に広がった。これを見ていて面白くないのは、ウィンクルボス兄弟。自分たちのサイトではなくザッカバーグのサイトが先に誕生したことに腹をたてる。しかし、ザッカバーグは逃げ回って相手にしてくれない。学校にこの件を訴えたが学校はとりあってくれない。
 一方フェイスブックは他大学にも広がりどんどん大きくなる。ザッカバーグは優秀なプログラマーを募り、夏季休暇中にシリコンバレーへと開発拠点をうつす。しかし、サヴェリンは自身の就職活動と資金集めのためニューヨークへ留まる。彼はfacebookがそれほど急激に大きくなるとは思わなかったのだ。しかし、ザッカバーグはそのままハーバードへ帰ってくることはなかった。
 長々と経緯を書いてしまいましたが、この次第を整理する必要があると思ったので。副題にビル・ゲイツという名前がありますが、ザッカバーグはビル・ゲイツともグーグルのブリンとペイジともまた違うタイプのギークです。この中では一番のコンピュータオタクで社交性に乏しいタイプかもしれません。しかし、構築したサイトは社交性を活性化させるサイトで開発する馬力もかなりのものです。彼が自分のSNSをつくろうと思ったきっかけはやはりウィンクルボス兄弟でしょう。しかし、ウィンクルボス兄弟がつくりたいサイトでは駄目だと思った。けれど、彼はボート選手の筋肉マッチョと話し合いながらサイトのアイディアを構築していくタイプではなく、自分の信念で突き進むタイプ。だから自分がこうと思ったSNSを一人でつくりあげたのです。今となってはSNSの標準機能となった、出会い系とは違う排他性、招待性がこのfacebookのポイントでした。使いやすくすっきりしたインターフェースもその成功の理由一つです。また、ハーバード大発というブランドも大きかったに違いありません。
 ウィンクルボス兄弟はアイディアを盗まれたと怒りますが、彼らの言うとおりのサイトをつくっていたらおそらくfacebookにはなっていなかったでしょう。彼らはザッカバーグに依頼する以前から既サイトの構築を別のプログラマーに頼んでおり、2年もかけてあーでもないこーでもないとやっていたのです。それをザッカバーグは2ヶ月でサイトにまとめあげたのですから、文句を言うのはおかど違い。成功者へのやっかみに近いものです。
 一番仲が親しかったサヴェリンとも結局仲たがいしてしまうことになりますが、これもサヴェリンの方に責があると私は思う。彼はfacebookがこれほど大成功するとは思っていなかったから、自分の卒業と就職を優先し、ニューヨークに残ります。これですっかりボートに乗り遅れたのです。博打うちの彼ですが、判断ミス。後から俺ものせろ~と言っても一番大変なときにその場にいなかったからだめなのです。
 しかし、関係がこうやってこじれるのはザッカバーグにももちろん責任があります。彼は自分からはほとんど話すことはなく、聞かれたときに必要なことを言うだけです。だから相手が聞いてこなければ自分の思いでどんどん進んでしまうのです。聞いてなかったと言っても彼はもともと、誰かに相談するつもりもないのです。
 ザッカバーグにとって一番大事なのはfacebookという自分の子ども。子どもの役に立つこと意外彼は今のところ興味ないのでしょう。そんなザッカバーグがいるからfacebookはこれだけ支持を集め世界一となったのでしょう。
 facebookがハーバードの寮で誕生したのは2004年。それからわずか6年しかたっていませんが、ユーザーは世界で5億人。ザッカバーグは億万長者となっています。しかし、彼はお金にはあまり興味なくfacebookの成長だけが楽しみなようです。
 ところで、本文中にも書きましたがザッカバーグはユダヤ人です。グーグルの二人もユダヤ人。サヴェリンというユダヤ人脈も使ってはいますが、facebookが成功したのはザッカバーグが天才だからでしょう。IT系でもユダヤ人が優秀なのか....。
 結局ザッカバーグはハーバードを中退します。ちなみにビル・ゲイツもハーバード中退だし、グーグルの二人もスタンフォード中退。天才にとって大学とは場であって卒業する必要なんてないんでしょうね。日本にはそういう人ってほとんどいませんが、だから世界で突き抜けるような人もいないってことなんでしょうね。
 本著はノンフィクションですが、物語調に書いてあって読みやすい。ややお話つくってるところもあるでしょうが。映画は見る予定。映画になっても面白そう!サヴェリン役のガーフィールドの演技も楽しみです。
(★★★★)

【東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ】 遙 洋子
 大阪の女タレント遙 洋子が東大で日本のフェミニズムの権威である上野千鶴子に学んだことの手記。ケンカというのはいわゆる討論や、会話での勝ち方のことです。解説書のごとく箇条書きの部分もあります。遙は大阪のタレントで主に大阪の番組に出ているよう。私もなんとなくは知ってるような気がするが、もともとTV見ないのでよくは知らないタレントです。上野千鶴子はいわゆるピース&フェミ系ではよく目にする名前で、動画も何度か目にしたことありますが、本は読んだことなかった。
 大阪の芸能界というフェミニズムとは一番遠いような場所にいる著者が学問と格闘しながら学んでいく様子が綴られています。しかし、芸能界ってのはロクでもないとこですね。こんな人たちのつくってるTV番組は早く滅びた方がいいんじゃない?著者はそんな困難な職場で奮闘しながら、勉強をしています。東大だから毎週東京に来なければならなかったことになりそれは大変なことだったのでしょう。それでもやめなかったというのはやはり上野千鶴子の人徳ではないかな。
 言葉というのは学者にとっても非常に大事なツールでしょう。上野の言葉は研ぎ澄まされたナイフのようなきれ味があります。曖昧な表現や説明、熟慮していない発言はバッサリと切り落とされます。しかし、そういった真剣勝負は討論や学問の場の話で、普段は親しみやすい人のようです。著作に関しても一般の人が読みやすい本と、バリバリの学術書と両方を手がけている感じです。それも言葉の達人であり、相当な知性の高さを持っているからなのでしょう。というわけでなぜか今まで読んでいなかった上野本を読んでみたいと思ってます。
 遙さんはもうすぐ滅ぶTV媒体からは足を洗ってもう少し有益な方向にエネルギー使った方がいいでしょう。
(★★★★)

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