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新最近みた映画(111)

【アバター】 ジェームズ・キャメロン
 サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガーニー・ウィーヴァー。タイタニックの記録を塗り替えた昨年一番の話題作早くもDVD化ということで早速見ました。近未来、惑星パンドラという星で人類は自分たちに有用なレアメタルを見つけ採掘しようとしている。しかし、そこにはナヴィと呼ばれる住民がいる。人類より2倍ぐらい長身で身体能力も高く知性も高い彼らは自然とともに原始的な生活をしている。
 オーガスティン教授(ウィーヴァー)はナヴィのコミュニティに、アバターと呼ばれる人類の分身を送り込んでいる。サリー(ワーシントン)の兄もこのプロジェクトに関わっていたが事故死してしまった。同じDNAだとアバターがシンクロしやすいということでサリーは惑星パンドラに呼ばれたのだった。サリーは海兵隊に所属しているが、戦闘による負傷で下半身不随となっている。
 3Dということで話題になった映画ではありますがストーリーがしっかりしています。けれど、タイタニックに比べて一般受けしなそうなSF色の濃い映画で、よくあれだけヒットしたなと思いました。
 人類はどこの国の軍隊とは言ってませんが海兵隊ですから米国なのでしょう。ナヴィは知性が高く英語を話す人もいます。人類側もナヴィ語を話す人がいて一見両者は交流しようとしているかのようにも見えるのですが、人類側の真の狙いはレアメタル。企業ではなく、軍が出てきて国家プロジェクトとして金儲けのお膳立てをつくろうとしています。ナヴィ側は人類が何を求めているのかはかりかねている感じ、彼らを信用していいものかどうか。
 ネイティブアメリカンのコミュニティに資源を求めて侵入していくアメリカ人、イラクに資源を求めて侵入していくアメリカ人がこの映画にかぶっていきます。アメリカ人にとって彼らはエイリアン。交流する相手ではなく排除の対象なのです。しかし、主人公のサリーはアバターとなりナヴィのコミュニティに入ることにより、人類が間違ったことをしているということに気がつきます。けれど、国家プロジェクトをそう簡単に止めることはできない。
 以下ネタバレ含みます。今回の局地戦ではナヴィ側がなんとか人類を撃退します。しかし、退けたのは中隊レベルの米軍でしかなく彼らが本気を出して戻ってきたらおそらくナヴィは絶滅させられてしまうでしょう。もちろんサリーはこの侵略はいけない!と訴えているのですが、米軍中枢までその思いは全く届かないでしょうから、普通なら増派して反撃に戻ってきます。映画はそこまでの話はやらないのですが、今後きっとそうなってしまうでしょうから、映画見終わっても私はすっきりしませんでした。映画的には人類が二度と攻めてこない理屈を何かつけて欲しかったのですがね....。
 内容が多いので、映画には盛り込めなかったのでしょうが、サリーの兄と、サリーの本作の前の話が見たかった。また、アバタープロジェクトの一番最初の立ち上がりのところも。というわけで、本作は二部構成にしても良かったのではないかなと私は思います。しかし、これだけヒットしたのだからスピンオフ企画が出るかもね。アバター2でナヴィや鳥さんたちが絶滅というストーリーは見たくないですが(^^;;
(★★★★)

【戦場でワルツを】 アリ・フォルマン
 イスラエル映画。監督自身の戦場体験の記憶を様々な人に会いながら紐解いていくドキュメンタリーチックなアニメ映画。アニメは実写のキャプチャーを元にした感じの独特の絵づくりをしています。アニメにはAdobeのFlashが使われているということだ。
 様々な映画賞を受賞し、アカデミー賞外国語映画賞最有力と言われていた作品ですが、この年は下馬評をくつがえし「おくりびと」が受賞しています。本作見てとるべきはこちらだったなと思いましたが、内容はイスラエル人がふれたくない内容なので、やはり政治的な力が働いたのではないかなと思います。
 原題は"WALTZ WITH BASHIR"。バシールとは当時カリスマ的人気を持っていたレバノンの政治団体、ファランヘ党の指導者の名前です。ファランヘ党はアンチパレスチナ勢力で武装組織でもあったのですが、バシールが暗殺されて暴走、サブラ・シャティーラ難民キャンプで住民虐殺をしてしまいます。
 以下ネタバレ含みます。監督はこのときイスラエル軍に従軍していて、この虐殺を見ていたのですが、なんと記憶がスッポリ抜けていたということが様々な人の証言をきくうちにわかってきます。よく見る謎の夢もこの事件に関連していた。映画を見ている人も監督と同じ視点で、イスラエル軍の様子や、虐殺があったことを体験します。確かにアニメ映画ではあるのですが、この題材を伝えるにはベストの手法だったのでしょう。テーマや映画の出来からしても外国語映画賞というより作品賞とってもいい映画ではないかと私は思いました。
 イスラエル軍は徴兵で主に構成され、監督も徴兵により従軍します。彼らの任務は一応治安維持と警備ということなのですが、戦車に乗ってウロウロしているだけ。見えないパレスチナゲリラにいつもおびえていて、ひとたび奇襲攻撃を受けると右往左往。住民を巻き込んだ無駄な戦闘をしたり、サブラ・シャティーラ大虐殺が起こっているときはわかっていながら何もしないで見ているだけ。パレスチナ問題は相変わらずですからここに描かれていることは現在進行形で起こっている話なのです。こんな状態がもう60年以上続いているというのはどう考えても異常です。けれど、本作のような意欲作をアカデミー賞は無視してしまうのですからまだまだ解決には時間がかかるということか。
(★★★★☆)

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