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新最近みた映画(103)

【ペルセポリス】 マルジャン・サトラピ、ヴァンサン・パロノー
 声の出演キアラ・マストロヤンニ、カトリーヌ・ドヌーヴ。サトラピの自伝的漫画原作をアニメ化した作品。1978年のイラン、イラン革命が起きたときマルジは9歳だった。以来イランは激動の時代となる。
 石油利権をめぐる大国の思惑の中で翻弄されるイランの様子がマルジという少女の目を通して描かれています。青春ものでありながら、社会や政治情勢を描いています。。
 アニメは手書きにこだわったそうですが、なめらかなモノクロアニメは芸術作品といって良い出来です。
 現在もイランそしてイラクは石油が出るからいつも大国がいつもちょっかいを出して、傀儡政権をうちたてようと画策しています。その影響はいつも弱い一般人に及ぶのです。
 イランについてイランの視点で描いている作品は少ないので本作は必見です。アニメだけど、子ども向きではありません。けれど、子どもも見れる映画です。
(★★★★☆)

【チャックとラリー おかしな偽装結婚!?】 デニス・デューガン
  アダム・サンドラー、ケヴィン・ジェームズ、ジェシカ・ビール。モテ男で独身のチャック(サンドラー)と奥さんを亡く子どもがいるパパのラリー(ジェームズ)は消防士の同僚。ラリーは奥さんが死んだときに年金の受取者の変更手続きを忘れてしまったため、自分が死んだらその受取人がいないことに気がつく。今から子どもに受取権利を変更できないと言う。これを受け取るようにできるようにするには誰かと結婚してその人を受取人とするしかないとお役所は言う。ラリーは女性とは縁無く、今更結婚するあてもない。そうだ、信頼できるチャックと偽装結婚しよう!
 ストーリーの前提を書くのに随分と文字数使ってしまいましたが、本作ではこのなりゆきストーリーにうまく織り込んでいます。そして、本作の笑いのツボはゲイでないのにゲイのカミングアウトをしてそのふりをするというところにあります。
 サンドラーものはナンセンスコメディというイメージがあったのですが、本作はかなり社会派です。ゲイ問題や、役所の融通のなさなどをコメディで伝えています。本作もサンドラーものなので全米NO1をゲットしています。見てる人の多くは”ゲイなんか信じられない、ウザイ”と思ってる人たちでしょうから、教育効果!?は高いだろうね(^^;
 本作は日本では未公開です。サンドラーの次作はモサドのエージェントがNYでカリスマ美容師になるという話でこれも日本では未公開なのですが楽しみです。
(★★★★☆)

【殯の森】 河瀬 直美
 うだしげき、尾野真千子、渡辺真起子。カンヌ映画祭グランプリ作品。妻を亡くしたしげきは認知症になり、老人ホームにいる。しげきと彼の介護をする子を亡くしたヘルパー(尾野)の交流。
 同監督作品を見るのはカンヌで新人賞をとった「萌の朱雀」以来。私は「萌の朱雀」をそんなに評価してません。本作はそれよりは映画らしくなってるけど、なんか古臭い暗い感じの映画。映像はきれいなのでBGVとしては良いかもしれません。うだしげきさんは古本屋のおやじの素人だそうですが、本作ではセリフの無い認知証の役。一応存在感はあるけど、今後俳優としてやっていく人ではないでしょうね。
 しかし、これがなんでカンヌでうけるんでしょう。カンヌで選ばれる作品はたいていすばらしい作品なのですが。
(★★☆)

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読書な毎日(181)

【ピアニスト】 エルフリーデ・イェリネク
 2001年にカンヌでグランプリをとった映画の原作本。著者はドイツ人で2004年にノーベル文学賞を受賞しています。主人公はウィーンでピアノ教師をする38才の独身女性。母と二人暮しをしている。母は娘を誇りに思っているのだが、彼女の一挙手一投足にまで注文をつける。彼女の生徒の一人クレマー。彼はイケメンで自信家。ガールフレンドもいるのだが、彼は女教師エリカに興味をもち、生徒と教師の関係を越えようとする。
 話の構造としてはシンプルですが、それぞれのキャラクターが一癖あります。エリカはピアニストとしての将来はほぼ無いが安定した音楽教師という地位を得ている。出来の悪い生徒達にいらつきながらも、彼女はそつなく教師を演じている。母の干渉にうんざりしながら男とつきあうことからも一線を退いている。しかしその一方、何か満たされず、自傷癖とマゾ的な願望を持っている。母は娘と二人で死ぬまで暮らすことを想定している。娘の給与と年金を頼りに将来はより良いすまいへ引っ越すことを計画している。クレマーはエリカを好きなのではなくエリカという女教師に興味がある。女教師の鎧をはぎとり女にし、自分にほれたらポイ捨てしてやろうと思っている。さて、この物語の結末は...本作を読むか映画を見てください(^^;
 さすがノーベル賞とでも言うべきなのか、本作の文学的修飾表現はこれでもかー、というぐらいてんこもりです。著者はものすごい言葉の宝庫を持っているのでしょうがちょっとやりすぎかな。頭にこびりついてしまうような表現も多くその能力も認めるのですが、流すとこは流してほしいなと、読んでてすんごく疲れます(^^;;
 映画の方も評価が高かったですが、この原作をどんな映画にしてるのか非常に興味あります。
(★★★★)

【綾部発 半農半Xな人生の歩き方88】 塩見 直紀
 半農半Xというのは半分の農業をするという意味ではなく、農に関わりながら生活するということだそうです。著者は現在京都府の綾部に住んでいますが、約10年前に通販会社を脱サラし故郷にUターン。そこで農業しならがら著述業、講演活動などをしています。
 本著には88のコラムが掲載さています。1ネタあたりは見開きの2ページで読みやすくできていますが、内容は彼の知り合いの半農半Xな綾部周辺に住んでる人たちのことを書いています。どれもその人を褒めちぎるコラムでちょっとむず痒い(^^; また、生き方指南というか自己啓発本っぽい雰囲気もかなり持っています。様々な本の紹介もしています。半分程度は私も読みそうだったり読んだ本なのですが、残りの半分は私が絶対に手に取ることのない自己啓発本や経営指南本みたいなやつです。
 ”天職を見つけること=好きなことを仕事にすること”と著者は何度も書いています。私はつい最近転職しました。前にいた会社は合併してから、ハンコ押すのが仕事になってしまったので辞めたのですが、今度の会社は私にとっては天職に近いかもしれないですね。しかし、誰もがやりたくない仕事というのもありますよね。例えば原発の使用済み燃料棒を交換する仕事とか、死刑執行人とか、ハンコのチェックする仕事とかね。そういうのも誰かがやらなければならないのですが、誰もがやりたくない仕事はつくってはいけないのでしょう。
(★★★)

【ディック・ブルーナ ぼくのこと、ミッフィーのこと】
 ディック・ブルーナ
 本著はブルーナの著作というより、ブルーナへの質問集といった感じの本ですが、彼のことについて満遍なく聞いているので、ブルーナの人となりがよくわかる本です。
 ブルーナはオランダ出身。父親は出版社を経営しており、ブルーナは子どものころから絵が大好きな少年だった。そして彼は画家を目指しますが、結婚を機に父の会社を手伝うようになります。彼は才能を生かして本の装丁やキャラクターのデザインなども手がけます。このとき生まれたのがブラックベア。そしてうさこちゃんは彼の子どもたちに向けて書いた絵本でした。それまで、子ども用の本というものは存在しなかったのだそうです。シンプルな線と色。またあの正方形のサイズと左に文章右に絵を配すというスタイルもブルーナが考えたのだそうです。そして、うさこちゃんシリーズはオランダだけでなく世界中で翻訳されこども達の大好きな本になったのです。
 うさこちゃんは私が子どもの頃からありましたが、最近うちの子どもたちが読んでいるのを見ると知らないキャラクターがけっこう増えているような気がしました。調べてみたところ、ブルーナは今もうさこちゃんシリーズの新作を書き続けており、ぶたのポピーさん、くまのボリス、うさぎのメラニーなど新キャラが誕生していたのです。うさこちゃん自体も初期の作品、中期の作品、現在の作品を比べるとシェイプが変わっています。うさこちゃんは今も進化を続けているのです。
 ブルーナはマティスやピカソの影響を強く受けていて、対象をできるだけシンプルな線と色で表現する手法をとっています。その集大成がうさこちゃんだったんですね。今まで私はうさこちゃんを芸術作品としては見ていなかったのですが、よくよく見ると奥深い絵だなと思うのでした。
(★★★★)

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