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新最近みた映画(101)

【蟻の兵隊】 池谷 薫
 旧日本兵の、奥村 和一氏を追ったドキュメンタリー。敗戦したが、中国にいた一部の日本軍は武装解除することなく上官の命令により中国国民党軍とともに、共産党軍と戦うことになる。多くの日本兵がその戦闘で死んだが、生き残った彼らを日本は逃亡兵とした。故に彼らへの戦後補償も行われなかった。奥村氏はその生き残りの日本兵の一人で、国に対して補償を求める裁判を起こしている。
 奥村氏は裁判の証拠集め、つまり上官が指示を出したために中国に残って戦ったということを証明するために中国へ行きます。しかし有力な証拠を集めても裁判は思うように運びません。インドネシアでも同じようなことが起こり、同じように政府が不誠実な対応をしています。これってやはり日本軍の体質であり、日本政府の体質なんでしょうね。
 旧日本兵が主役のドキュメンタリーと言えば、ゆきゆきて神軍の奥崎氏が思い出されます。本作の奥村氏は奥崎氏に比べ常識人ですが、主役級のエネルギーと精神力をもった人物です。自分でも終盤でそう口にするのですが、これは奥村氏の映画です。本作が評判になったのも彼があってのことだと思います。
 もちろん監督の池谷氏の力量もたいしたものだと思います。元はNHKでドキュメンタリーをつくっていたそうです。本作の撮影日誌も含めた”人間を撮る”という著作も出していますが書き手としてもなかなかです。あわせて読むことをおすすめします。
(★★★★☆)

【延安の娘】 池谷 薫
 中国の延安に住む海霞(ハイシア)が主人公。彼女の両親は文化大革命時代に組織された紅衛兵だった。彼らの間で恋愛はご法度だったのだが、二人の間に子どもが産まれる。両親は延安から追い出され、ハイシアは農家の娘となった。それから30年以上の月日がたったが、ハイシアは一度も会ったことのない両親に合いたいと思っていた。ハイシアのような例は特異ではないようです。
 ハイシアはおとなしく口数の少ない女性、というより少女のような雰囲気を持っています。夫も子どももいるのですが。映画では両親の居所を探すところからはじまります。父が北京で見つかり、そして会いたいということになるのですが、ハイシアの養父たちがなかなか許してくれません。そのまま帰ってこなくなるのでは、と心配しているのです。
 本作が池谷監督の長編第一作目です。本作の存在は蟻の兵隊が話題になるまで知りませんでしたが、国際的にはこちらの方が評価されているようです。監督はNHK時代から中国にこだわりがあり、中国を舞台にしたドキュメンタリーが二作続いたのも偶然ではないそうです。次作もきっと中国ネタなんでしょうが、期待してます。
(★★★★)

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