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読書な毎日(176)

【太陽通り―ゾンネンアレー】 トーマス・ブルスィヒ
 第二次大戦の敗戦により東西分断されたドイツが舞台。ベルリンにある太陽通り(ゾンネンアレー)は通りの一部分がなぜか東側になっていた。あとちょっとで西側だったからもしれない太陽通りの東側住民の話。15歳の青年ミヒャが主人公。みんなが憧れる彼女は西側の男とつきあっているようだ。そんな彼女に近づくため彼はダンス教室に入る。
 東側ではロックが禁止、移動も制限され、軍人やシュタージがうろうろしている。懲罰受けたら、党を賞賛する演説を全校生徒の前でしなければならない。ラブレターかもしれない手紙は国境の壁の間に飛ばされて、とれなくなってしまった。東側の人たちの様子をコメディタッチで描いています。
 こんな文学も統一されたから書けるのでしょう。東側、西側関係なく行き過ぎた中央集権はこうなってしまうんでしょうね。朝鮮も統一されれば、こんな文学を書く作家が登場することでしょう。
(★★★★)

【異文化としてのドイツ】 岩村 偉史
 ドイツ連邦共和国大使館に勤務する著者が書いた、ドイツの文化や社会、政治について書いた本です。ドイツというと近年は工業国ではあるけど環境先進国というイメージがあります。ドイツと日本はけっこう似ているところが多いと言えます。まずは、工業国であること。第二次大戦の敗戦国であること。自動車国であること。ケチでマジメであること。ところが全く違うところもあります。本当の意味での環境先進国であること。
 指標として、CO2排出量は京都議定書の1990年基準で言うとドイツは-18% 一方の日本は +14% と増えています。ドイツの労働者の労働時間は世界で最も少ないレベル。日本は非正規雇用が増える傾向にあり、過労死というものもある。ドイツは第二次大戦のことを反省している、と見られているが、日本は反省していないと見られている。
 著者はどちらかと言えば日本側に立って、ドイツのことを揶揄するような書き方をしています。まあ、著者は日本のお役人ですから仕方ないのでしょうが。
 日本の様々な法律はドイツの真似をかなりしています。あの介護保険制度というのもドイツの真似。しかし、ドイツのように機能してないように見えるのは、他人の芝生だから?それとも仏つくって魂入らずというやつかな?同じ京都議定書だってこの違いですから、運用する側の問題が大きいのでしょうね。
(★★★)

【“戦争責任”とは何か―清算されなかったドイツの過去 】 木佐 芳男
 読売新聞のドイツ特派員だった著者の本。1995年にドイツを中心に開催された、国防軍の犯罪展をめぐりドイツ国内は紛糾した。なぜならあの戦争の責任はナチスやヒトラーだけでは無かったという展示だったからだ。
 本著は私が知らなかった視点を提供してくれています。ドイツでは戦争責任というとそれはホロコーストの問題のこととなり、それが起こったのは”ヒトラーとナチスがすべて悪い”という具合になっているのだそうだ。ホロコーストというのは重要な問題ではあるが、戦争の1面であり他にも正規軍同士の戦いや、不当な捕虜の扱い、民間人の虐殺など戦争が起きれば起こってしまう問題がたくさんあった。しかし、それらはほとんどとりあげられることはなく、ナチスとヒトラーがスケープゴートとなってしまっているのです。また、ナチスというのは政党であり、その総統がヒトラー。そのヒトラーが国防軍を指揮していたのだから、ナチスと言った場合それは国防軍のことなのです。確かにナチス親衛隊というのもいたが、それはごく少数の集団で、戦争の中心では無かったのです。
 なぜ、ドイツの戦争責任があまり問われなかったかと言えば、第二次大戦後にすぐ冷戦となりドイツは分断されてしまったことが大きいと言えます。戦争責任を問うてる場合ではなくなり、再軍備が行われうやむやとなってしまったのです。
 しかし、このことについてドイツ人自身も気がついていない場合が多くだから、”国防軍の犯罪展”が大騒ぎになったのです。ドイツ人は先の大戦を反省しているのかと思っていたけど、むしろ平和教育では日本の方がしっかりやってるようなのです。そうとは知らなかった。
(★★★★)

【見えないアジアを歩く】 林 克彦、山本 宗補、佐藤真紀 他
 アチェ、カレン、ナガランド、チッタゴン丘陵、スリランカ北東部、チェチェン、イラクなど、一般の旅行客は行か(け)ない地域の旅行ガイド!? 1地域につきその土地に詳しい著者が解説しています。
 この本を読んで彼の地に実際に旅行に行く人というのは、ゼロではないかもしれませんがまずいないのでしょう。というわけで旅行ガイドという形式をとらなくても良かったんではないかなと思います。そうしなくともすばらしい面子の著者が揃ってるのですから。
 これら地域がなぜ見えないアジアかと言えば、政府に弾圧され外界と隔離されているからに他なりません。なぜ弾圧されるかと言うと、その地域に資源がある場合がほとんどです。彼らは独立を求めているのですが、資源も一緒に独立されては困るので政府は弾圧をするのです。現代とはとても思えない野蛮なことがこの隔離地域では行われています。
 ナガラランドとかチッタゴン丘陵なんてのは今まで聞いたこともありませんでしたがまだまだいろんな大変な地域があるものですね。さすがに今行きたいとは思えませんが、注目して平和が訪れるようにサポートしていきたいと思いました。
(★★★☆)

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