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新最近みた映画(98)

【愛の予感】 小林 政広
 小林 政広、渡辺 真起子。バッシングの小林監督の最新作。ロカルノ映画祭でグランプリを受賞しています。14歳の同級生(女)に娘を殺害された父親(小林)はその後どうやら離婚したらしく、苫小牧の工場で一人働いている。彼が投宿している宿で偶然、彼女の娘を殺害した子の母親と再会する。彼女はその宿でまかないの仕事をしている。
 単調な父親と母親の日常が画面に映し出されます。再開により変化が訪れるかと思いきや何も変わらない日々がすぎてゆく。けれどよく見ていると何かが微妙に違ってきている。
 バッシングもややマニア向けの映画でしたが、本作はもっとシニア向けの映画と言って良いでしょう。東京圏ではポレポレでしか公開してませんでしたがそれも納得(^^; しかし、これにグランプリをあげるというロカルノの鑑賞眼には驚きますね。
 本作、実はかなりの野心作で歴史に残ると言ってよい映画です。一般受けは全く考えておらず監督の撮りたい世界、伝えたい空気を撮っています。見終わってから、映画のシーンがよみがえってきます。何度も繰りかえされたように。
 我が家のりんどろ(4歳)もこの映画の世界に取り込まれてしまったようで、翌日から毎日卵かけご飯を食べるようになりました(^^;;
(★★★★☆)

【ミリキタニの猫】 リンダ・ハッテンドーフ
 ニューヨークのホームレス画家ミリキタニ氏のドキュメンタリー。911事件により、粉塵が街中にばらまかれ、路上で生活するのは危険な状態となった。かつてから、絵を買ったりと交流のあった監督のハッテンドーフが見るに見かねて、ミリキタニ氏を自宅に招き入れる。以来二人の共同生活がはじまる。
 ミリキタニはカリフォルニアで生まれ広島で育つ。戦前にアメリカにわたり、美術の先生などをしていたが日本とアメリカが戦争となり、日本人は強制収容所に集められる。彼はアメリカに政府に抵抗し、市民権を放棄する。以来、路上生活者として絵を書き続けていたのです。
 ナチスの強制収容所ばかり有名ですが、戦争が起きれば多かれ少なかれこういうことが起こってしまうのです。つまり、戦争ってのは何をもってしても起こしてはいけないということなのです。
 ミリキタニ氏はハッテンドーフと暮らし、社会参画の場を与えられることによりみるみると雰囲気が変わってきます。そして生き別れとなってしまっていた姉とも再会します。その様子は感動的ですらあります。ミリキタニは60年も路上生活をしていたぐらいですからむしろ普通の人より勤勉で、根性が座っていて、更に気力も体力も充実した人だったのです。
 タイトルの猫というのはミリキタニが好んで猫の絵を描くところからきます。ハッテンドーフとの出会いも猫の絵からで、彼女も猫を飼っています。911が無ければこの映画もなく、ミリキタニ氏も路上生活のままだったでしょう。不思議な運命もあるものですね。
(★★★★)

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