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コラムyokoze「トヨタ絶望奴隷工場」

 今回の秋葉原事件ですが、あまりにも分りやすすぎる構図。ちょっと整理してみましょう。
 加藤さんは、トヨタ系下請けの自動車組立工場 関東自動車工業で塗装工程を担当していました。関東自動車工業はホームページを見てもわかるようにトヨタ系列であることを売りにしています。
 昼夜勤の厳しい労働環境だというのには加藤さんは20万円程度しかもらっていなかった。生きるためには問題ない額でしょうが、いつクビになるともわからない派遣労働。休めばすぐにクビになるので、休日以外は会社に縛り付けられる奴隷のような生活。
 その昔、鎌田慧さんが自動車絶望工場というトヨタの期間工の話を書いたが、どうやら加藤さんの希望はこの期間工の方だったようだ。なぜなら期間工の方がまだ安定していて、収入もよいからだ。かつては最低辺だった期間工の更に下の階層に加藤さんは属していたのだ。

 そんな折、関東自動車で今月末に200人の派遣労働者を50人に減らすという発表がされた。日本では不景気やガソリン高を反映し車が売れなくなっていたが、なんとこの関東自動車の昨年度決算は増収増益でしかも過去最高だった。けれど、もうかっているのに奴隷には還元どころかクビなのだ。奴隷は会社の利益のための調整弁にしか過ぎないということなのだろう。
 加藤さんは昨年11月からこの工場で働いていたが、今月いっぱい契約が切れると言い渡された。つまり彼もクビ要員だったのだ(会社は今になって否定しているが)。そこで彼は延長して欲しいという交渉をしたようだが、その直後に彼の作業着はなくなっていた。ゴミのような仕事だが加藤さんは欠勤もせずにまじめに働く良い奴隷だった。なのに、なんで俺の作業着を取り上げるんだ。やめろってことか!もう知るもんか!ということで彼は会社を飛び出した。
 この作業着が消えた件はこの事件で重要な意味を持っています。加藤さんが見落としたか、会社の誰かが隠したか。欠勤もせずに堅実に毎日出勤するような彼ですから、見落としたりしまい忘れたなんてことは恐らくないでしょう。つまりこれは、同僚もしくは会社ぐるみのいじめなわけです。
 工場から飛び出した彼はもう戻るつもりは無かった。どうにでもなれ!けれど、生きなければならない。そのためにはまた新たな奴隷先を見つけなければならない。もうこんなことにはうんざりだ。俺は生きてても意味がない。どうすればいいだろう。そうだ戦争だ!俺にとっての戦争をするんだ!というわけで彼は武器を調達し、戦場へ向かった。彼の戦場は何故か秋葉原だった。ゲームやアニメが好きだった彼の聖地であり、オアシスの秋葉原だ。秋葉原のホコ天で散ってやろう!彼はそう思ったに違いない...。
 加藤さんの場合は一人暮らしで居住地域とのつながりも無かったためアキバへと玉砕の地を求めたようである。しかし、本人の性格と環境により玉砕の地は変わってくる。一番よくあるケースは一人玉砕の自殺である。もちろんすべてが奴隷労働の結果ではないが、自殺は年間3万人もいる。次に多いのは家族への玉砕。次は居住地域や出身学校などへの玉砕。
 ちなみに加藤さんも自殺を試みて失敗している。一見無差別通り魔に見えるが、一人玉砕ができなかった彼の代替玉砕手段が今回の事件だったわけだ。つまり年間3万人も自殺がでるような社会では、今回のような事件が時々起こるということになる。

 今のところ不思議なことに彼らを追い込むシステムを管理・設計している会社や、政治への玉砕を試みるのはかなり稀なケースだ。なぜなら、今のところマスゴミや会社システムが上手に機能して奴隷たちが真の問題に気がついていないからだ。けれど、早晩に誰かが決行することだろう。そうして彼らは気がつく。自分たちを追い込んでいるのが誰かということに。
 今回の事件もマスゴミは”個人の問題”として片付けようとしている。しかし、この事件の原因の1つは固定化している格差社会の問題である。加藤さんは高校では成績優秀だったが、早く社会に出たくて専門学校に行ってしまった。これが選択の誤りで、この結果奴隷階層に落ちてしまった。現在の日本では一度奴隷階層に落ちてしまうとそこからはもう這い上がれない。少ない収入で厳しい労働。会社の都合でいつでもクビを切られる奴隷階層。一度奴隷になった人を会社は正社員として雇わない。
 もう一つはこの武器の問題だ。今回は7人もの人が亡くなってしまったが、彼は殺人用のナイフを調達していた。普通の包丁ならこんなに死んではいないはずだ。先日米国でも32人が米国の大学で殺された事件があったが、あれも殺傷能力の高い拳銃が使われたことによる。人殺し用の道具は売るべきではないのだ。

 アキバのホコテンは今週から中止となるようだ。そしてダガーナイフも発売禁止となりそう。今回の事件は加藤さん本人と、ホコテン、ダガーナイフの責任ということで終わりそうな雰囲気になってきた。一番の問題である奴隷労働はなにも手をつけられずそのままだ......。

○関東自動車3月期決算…増収増益 売上11.5%増の純利益26.5%増
http://response.jp/issue/2008/0430/article108796_1.html

○関東自動車
http://www.kanto-aw.co.jp/

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