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読書な毎日(173)

【隠されている狂牛病】 シェルドン ランプトン、ジョン ストーバー
 狂牛病の発見から原因そしてその影響まで、狂牛病について網羅されている本です。2002年の出版なのでその時点までの情報ではありますが非常に勉強になりました。
 狂牛病についてまだわかっていないこともあるのですが、次のことは確かです。人間にも感染し発症したら100%死ぬ。狂牛病は潜伏期間の長い病気で発症するのに10~40年ぐらいかかる場合もあります。そのためスローウイルスとも呼ばれていますが、この潜伏期間の長さ故、実験に時間と費用がかかってしまい原因究明に時間がかかっているのです。狂牛病の原因とされているプリオンは最近発見されたものです。プリオンとなった蛋白質を食べることにより狂牛病は発症します。症状としては手足が震え、痴呆症状となり発症から1ヶ月程度で死にます。同様の病気は牛だけでなく羊ではスクレイピーと呼ばれ18世紀から存在が知られていました。スクレイピーは伝染性があり、群れで一頭発症するとその群れは全滅します(全滅しなくても殺して処分する)。症状は狂牛病と同じで脳がスポンジ状になりプリオンができます。また人間でも人食を習慣としていたパプアニューギニアの部族でクールー病と呼ばれる狂牛病と同じ症状の病気が発生しました。
 特に狂牛病は種の壁を越えて感染することが確認されています。狂牛病の肉を食べたミンクや人間の脳がスポンジになっています。
 人間のかかる狂牛病とよく似た病気として他に、ヤコブ病と痴呆症があります。これが同じが違うかというのは現在研究中ですが、この研究者が謎の死をとげたりしています。これらを関連づけられると困る人がいるのでしょう。
 とにかく狂牛病対策として私たちにできることは1)牛肉、特に危険部位(脳)を食べない 2)牛でなくても脳は食べない ということです。リスや豚の脳を食べた人がヤコブ病を発症したという例もあるそうで、脳ってのは食べるべきではないのです。
 そもそもなんでこんな恐ろしい病気が発生してしまったのでしょうか。これはやはり効率化とコスト削減の産物に他なりません。草食動物の牛に動物性たんぱく質を与えると、飛躍的に成長が早まることがわかりそれを飼料にするのが普通に行われるようになっていきました。動物性たんぱく質のその中身は何かと言うと人間が食べられない部位や、病気で死んだ動物でした。これがいわゆる肉骨粉と言われるもので、魚、豚、牛、残飯などなんでも粉々にして乾燥させたものです。こういういらないゴミを再生させることをレンダンリングと言うそうで、表には見えないレンダリング産業は実は巨大なのだそうだ。レンダリングビジネスがターゲットにしているのは、動物の飼料だけではありません。人間の口に入るもの、化粧品などにも入っているのです。私は自分が子どものころ面白がって、ドッグフードを食べたことを思い出し、吐き気をもよおしてしまいました(^^;
 狂牛病はまだわかっていないことも多いのですが、特にアメリカのこの病気に対する消極性と、隠そうとする努力はかなりのものです(^^;; というわけでアメリカ産の牛肉というかアメリカの食品は食べない方がいいですね。中国ばかり気にしているとスポンジボブになっちゃうよ(^^;;
(★★★★☆)

【ニッケル・アンド・ダイムド】 バーバラ・エーレンライク
 副題はアメリカ下流社会の現実。日本でも認知されてきたワーキングプアのアメリカでの実態を著者自らが体験したレポート。原著は2001年の出版。著者は本作で有名になったのでなく、既にキャリアのあるルポライターでありコラムニストだったようですが、その地位にありながら果敢に単身ワーキングプアの世界に飛び込んでいきます。
 初期資金だけで、住む場所もコネもない状態で知らない土地に移動し、住居を探しながら働きます。著者は健康な50代の女性で博士号を持っていますが、どこに行っても仕事になかなかつけません。ついても時給6~7ドルぐらいの肉体労働です。約1年ぐらいにわたり様々な仕事につきながら移動していきます。フロリダ州キーウエストでウィトレス。メイン州ポートランドでメイドサービスと介護施設での給仕。ミネソタ州ミネアポリスのウォルマートの洋服売り場で店員として働きます。
 こういう時給仕事は何年やっても熟練しても給料はほとんど上がりません。一つの職場では一人がやっと暮らせるぐらいの収入にしかならないため、家族を養うためには複数箇所で働く必要があります。日本の家賃は高いですが、アメリカの家賃も高く収入はほとんどが住居費に消えてしまいます。しかもその住居はかなりお粗末なものです。トレーラーハウスに住むというのは最底辺の暮らしなのかと思っていましたが、むしろトレーラーハウスの方がこのレベルだと恵まれた方のようです(^^;; アメリカでは最低賃金も食費もここ数十年でほとんど変わっていないそうですが住居費だけはどんどん上がっているのだそうだ。
 著者の観察力と表現力はかなりのもので、ワーキングプアの世界がまさに眼前に浮かぶようです。しかし、アメリカは庶民を安い給料でコキ使ってボロボロにしている社会が持続性あるものだと思っているのでしょうか。本作を読んでわかるようにアメリカの足腰はかなり弱っています。帝国が倒れる日は近い。
 本作はアメリカの話ですが、日本もこのレベルに近づいています。なんでもアメリカの真似してるとこうなってしまうんですよ。
(★★★★☆)

【隠して核武装する日本】 槌田 敦、藤田祐幸、核開発に反対する会
 槌田教授と藤田祐幸氏の論文がメインになっている本。槌田教授は広島、長崎の原爆が戦争終結のために使われたのではなく実験目的であり、そのためにアメリカが戦争を長引かせていたということをまず論じています。また、もんじゅ、常陽などの高速増殖炉は核開発が目的の原子炉であって日本はいつでも核兵器をつくれる状態にあるということを述べています。藤田氏は戦後日本がいかにして核開発の道筋をつくり、拡充していったかを調べています。
 槌田氏の論については本著の前に小冊子で読んでいましたが、それより詳しく書いてあります。それを読むまでは私も原爆が落ちたから戦争が終わったのかと思っていましたが違うのです。実験目標とするため、わざと爆撃しない都市を温存したり、人が一番外出している時間を狙ったり、違う種類の爆弾を落としたり、ソ連の参戦の前に急いで落としたりしています。特に長崎のプルトニウム爆弾は天候が良くないがわかっていて出撃し、攻撃目標を変更し、帰りの燃料がつきてサイパンまでB29は帰れなかったのです。つまりこの爆弾を落とすのは8/10ではだめで8/9中になんとしても落とさなければならなかったのです。
 日本の核開発の件もたんぽぽ舎(原発廃止の市民運動団体)で話を聞くまで知らないことでした。北朝鮮が核開発してる!と日本のマスコミはよく騒いでいますが、日本の核開発の方が規模もレベルも数段上を行っています。核弾頭をつくっていないだけで、その手前のプルトニウム抽出まではとっくの昔に完了しているのです。
 しかし、日本では日本が核開発してるというのはかなりのタブーなのだそうです。マスコミはもちろんのこと、反原発、反核の団体でさえそうで、槌田教授はその論を述べたところそういった団体からは追い出されてしまったのだそうだ。そして、日本の核開発をテーマとした本はなんと本著が初なのだそうだ。
 両氏の他にもたんぽぽ舎のメンバーらが論文のせています。確かにこれらも核開発と関連する話ではありますが、やや本著が散漫な印象になってしまうので載せなくても良かったんじゃないかなと私は思いました。まあ、とにかく日本が核開発しているという話はもっと皆が知った方がよいことです。そしてこれを止めなければいけません。ヒロシマ ナガサキの日本が核開発してるのではシャレになりません。
(★★★)

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