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読書な毎日(171)

【原発・正力・CIA】 有馬 哲夫
 読売新聞、よみうりテレビの経営者だった正力 松太郎を中心にしたルポ。正力と言えばナベツネの前身ぐらいのイメージぐらいしか無かったのですが、ナベツネどころではないある意味大物だったというのが本著を読んでわかりました。佐野眞一氏が正力の伝記のタイトルを巨怪伝としている意味もわかりました。ちなみにこの巨怪伝はよっぽどやばい本なのかネット書店どこでも品切れです(^^;;
 警察官僚だった正力は読売新聞を買収し社長となる。巨人軍を創設し販売部数を伸ばす。第二次大戦でA級戦犯となるが巣鴨プリズンから見事に脱出。戦後は原子力の平和利用という名目で原発の日本導入に尽力し「日本の原子力の父」と呼ばれる。よみうりテレビも創設、国会議員にもなる。原発の導入の世論づくりに読売新聞とよみうりテレビは大きな役割をはたす。資金力を生かし総理大臣の椅子も狙うがそれはかなわず。CIAとは原発の導入などで綱引きをします。正力のコードネームはポダムで、CIAからは信用されていなかったようです。それで結局アメリカから原子炉は買えず、日本最初の東海村原子炉はイギリス製なのです。正力は原子力を単なるビジネスチャンスと捉えていたようですが、核兵器につながる原発を正力のような危険人物に与えては危ない!とアメリカは考えていた。
 正力はディズニーとも関係があります。ディズニーのつくった原子力平和利用アピールの映画「わが友原子力」(Walt Disney Treasures - Tomorrowland という米国DVDに収録)をよみうりテレビで元日に放映。ディズニーランドの誘致にも関係し、自分は正力ランド(よみうりランド)をつくったりしています。
 しかし、日本って不思議な国ですね。A級戦犯に名を連ねるぐらいの人が国会議員になり、マスコミを牛耳る地位にそのまま残ってしまうのです。とにかく、本著を読んで読売新聞とよみうりテレビが権力寄りである意味がよくわかりました(^^;; こういう新聞が発行部数1位となり、視聴率三冠とかを達成してる日本ってやっぱヤバクない(^^;;
 取材内容はかなりのスクープだと思うのですが、残念ながら文章がやや読みづらい。というわけでネタもネタなのでなかなかこの話は広がらないだろうな。
(★★★★)

【ルポ貧困大国アメリカ】
 堤 未果
 本著は著者の前著のアメリカ弱者革命の続編的な本ですが、前著と比較し要点をまとめ対象範囲も広め没落するアメリカの様子を網羅している本です(^^; 著者の他著同様、非常によみやすくわかりやすい本で、没落するアメリカに関しての初心者でもグングンと理解できることでしょう。あの国がヤバイことを(^^;; 本著は女性の品格などと並びベストセラーランキングの上位に食い込んでいますが、これはやはり岩波新書のパワーなんでしょうかね。もちろんようやく日本人もあの国がやばいんじゃないかと気がついたのでしょうが、日本含めてもう手遅れかもよ(^^;;
 サブプライムローン、医療問題、肥満問題、貧困問題など豊富に取材しています。現在のアメリカには食料キップ(フード・スタンプ)に頼って生活する人が 2000万人もいます。彼らは何故か太っています。なぜなら安くて高カロリーのバランスの悪い食事をしているからです。そんな彼らが病気になっても医者にかかれません。なぜならそういう人は保険に入っていないので高すぎる医療費が払えないからです。そんな底辺の生活から脱出するには軍隊に入ってイラクに行くしかありません(^^;
 世にも恐ろしい話がたくさん載っていますが、その中でも特に気になったものをいくつかピックアップします。自由化の影響でアメリカの医療費はものすごく高くなってしまいましたが、高いのに医療ミスはものすごく増えていてそれで命を落とす人が 年間20万人もいて、なんと死因の第一位だという。値段は高いがコスト削減のため看護士は減らされ、医療機器は使いまわしたりするため、医療のレベルが低下。お産にもあまりにも金がかかるため、できるだけ早く病院を出ようと日帰り、一泊出産なんてのが普通に行われるそうだ(^^;; 乳幼児の死亡率が先進国中で飛びぬけて低いのもこういうわけだったんですね。
 貧しい家庭のために、給食の無料or割引制度というのがあり、これを利用している子どもがたくさんいる。昼食だけでなく、朝食もあるのだが、これもやはり安くて高カロリーで調理が簡単な食べ物であり、肥満の原因となっている。この給食は民間の業者、兵士のごはんもつくってるケロッグとかマクドナルドなどがつくってるのだ(^^;;
 なんでもアメリカの真似をする日本は現状この路線をつき進んでいます。こんな日本になっていいの?
 著者はつい先日、国会議員になった川田龍平と結婚しました。なんと素晴らしい組み合わせなんでしょうか。この二人がもっともっと表舞台に出てくるようになると、日本は良くなると思うのだが。
(★★★★☆)

【秘密】 重信 メイ
 日本赤軍の重信房子の娘、重信メイ(命)の手記。日本赤軍とは私が子どもの頃の話でもあり、よく知らなかったのですが。主にパレスチナ解放を求めて武装闘争していた集団のことです。母の房子は直接武装闘争には参加していませんが赤軍の中心メンバーとして活躍したとされ、日本国内で逮捕拘留され懲役20年の刑を受けています。
 娘のメイはパレスチナ人の父親との間にレバノンで生まれています。父はイスラエル軍に射殺されこの世にいないそうです。現在は日本国内でジャーナリストとして活躍しています。ここまで書いただけでも壮絶な半生ですが、この本には私たちでは考えも及ばないようなものすごい生い立ちがつづられています。
 日本赤軍はパレスチナ解放のために活動していたため、パレスチナにとっては英雄です。ところがイスラエルからすればテロリストで、常にイスラエルの諜報機関(モサド)に追跡されています。彼らは中東の地で名を隠し、日本人であることも隠し、常に引越ししながら生活しています。そのメンバーはモサドなどに捕まり次第に減っていきます。
 メイ自身はレバノン生まれなのですが、母にずっと日本のことを聞かされていたため彼女のアイデンティティは日本にあるようです。母の房子も日本をあきらめてパレスチナに飛びだしたものなかと思いきや、彼女は日本という郷土を愛していてそれは娘にも引き継がれるぐらいだったということなのです。彼女も日本にいつの間にか帰ってきていて、そして逮捕されてしまいました。恐らく中東にいれば捕まることが無かったでしょうに。
 本著は日本赤軍やその思想についてのことはあまり書いてありません。母の話、友達の話、出自を隠して生きることのつらさ。自国というアイデンティティがないということについて書いてあります。パレスチナ人はもう60年もそんな状態にあります逆に言えばイスラエル人(ユダヤ人)はやっと獲得した自国なのです。
 この地域がかくもこじれてしまったのは、建国時のイギリスの対応があったり米国のイスラエル肩入れ政策だったり国際社会の無関心もあったりしますが、60年という月日はあまりにも長い。一時オスロ合意で和平への道が開かれたかのように見えた時期もあったのですが米国が共和党政権になったら元にもどってしまいました。米国が没落し、民主党政権になるここ数年のうちにパレスチナ問題はおそらく何らかの動きがあるでしょう。
 非常に読みやすい本ですので、日本赤軍とパレスチナ問題の導入として読むのに適した本でしょう。最後に付け加えておくと重信メイさんは表紙の写真の通り、モデル級の美人です。キャスターとしてCS放送のレギュラーも持ってるようなので興味ある人は見てください。
(★★★★☆)

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コラムyokoze「ビンラディンはどこ?」

Osama スーパーサイズ・ミーのモーガン・スパーロックの新作「Where in the World is Osama Bin Laden?」(オサマ・ビンラディンはどこにいるの?)が全米で4/18に公開されます。2001年にアフガンからはじまったテロとの戦いの一番のターゲットのはずのビンラディンは今だ捕まりません。けれど、忘れれないようにか(^^;ときどきメッセージビデオが流れます。世界最強の軍隊と諜報組織を持っているはずのアメリカはどうしてラディンを捕まえられないんでしょうかね(^^;?
 本作はスパーロックが中東に行ってラディンを探すというドキュメンタリー。インディジョーンズばりのポスターが決まってる!

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読書な毎日(170)

【難民を追いつめる国—クルド難民座り込みが訴えたもの】 クルド人難民二家族を支援する会
 2004/7/13から72日間にわたり、難民認定を求めUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)前に座り込んだクルド難民のカザンキラン家とドーガン家とそれを支援した人たちのドキュメンタリー。この事件はテレビや新聞でも連日報道されていたので私もよく覚えていましたが、これが何であるかというのはあまり意識していませんでした。彼らはクルド人でトルコから日本に逃れ難民申請をしている、しかし難民と認定してくれない、そこでUNHCRに座り込みそれを訴えている。この座り込みにマスコミが群がった理由は、子どもから青年までの一家が揃って座り込みをしていたということの珍しさが一番だったようです。顔をマスコミにさらして座り込みをするというのは非常に危険を伴うことです。なぜなら彼らはトルコに送還されれば身の危険がある難民だからです。
 日本という国は驚くほどに難民認定をしない国です。最近はやや増えてきましたがそれでも20人程度です。そしてそのほとんどがビルマ(ミャンマー)人です。なぜ、ビルマ人を難民認定するかと言えばアメリカが現政権側ではないからです。ランボーが立ち向かうのもそういうことです(^^; というわけでクルド人が難民として日本に住むのは驚くほどに難しいことなのです。
 この事件の顛末は、強制送還でした。カザンキラン家はマンデイト難民と認められていたのにです。これは世界初のことだったそうだ。幸い彼らは第三国へと逃げ難民と認められたそうです。
 本著は彼らを支援していた人たちが事件についてまとめて書いた本です。非常に読ごたえがあり、これ一冊読めば日本の難民政策の閉鎖性がよくわかります。「ワタシタチハ ムシジャアリマセーン」と座り込んだ家族は訴えていたそうですが、正に難民はムシ扱いなのです。
(★★★★)

【「噂の眞相」おかわりっ! 】
 岡留 安則
 廃刊となってしまった雑誌、噂の眞相の編集長がTVウワサの真相という朝日ニュースター(CS)で放映した番組を本にしたもの。著者の岡留氏は現在沖縄に住んでいるそうです。
 テーマを決め、一回の放送あたり4人ぐらいの識者を呼び対談するという番組です。テーマは右翼、小泉内閣、米軍、警察、検察、暴力団、皇室など地上波ではタブーとされまず放映できそうもないものばかり。ゲストは天木直人、森達也、宮崎学、金子勝、斎藤貴男、ベンジャミン・フルフォード、佐野眞一、鈴木邦男など私がよく読んでる本の著者のオンパレード(^^;; というわけで、この面子にピンとくる人は是非とも読んでみてください。収録モノにしてはかなり内容が濃い本です。我が家ではこの番組が見れないのが残念だ。
(★★★☆)

【9条どうでしょう】 内田 樹、平川 克美、小田嶋 隆、町山 智浩
 本著はUSAカニバケツの町山智浩氏が憲法9条について書いたということで気になり読んだ次第です。他の著者については正直知りませんでしたが、憲法についてあまり書きそうもない人が書いてるようです。
 内田さんの自衛隊があるから憲法9条が守られているというのはなかなか面白く読んだのですが、町山さん含めその他の人の論は突っ込みどころ満載であえて本に書くほどのこともないような気がします(^^;; ただ、本著を読んで発見だったのは町山さんが在日だったということ。そして、そのことについてネチッこくからんでくる人がネット上にたくさんいるということ。しかし、なんで在日の人をネット右翼と呼ばれる人は攻撃するんでしょうね。
(★★★)

【明治10年からの大学ノート—二松學舎130年のあゆみ】 二松學舎小史編集委員会
 東京九段にある二松學舎大学の歴史について二松學舎自身が書いた本。二松學舎と言えば附属の高校野球が有名で、大学があるとは私もかつて知らなかったのですが、あの夏目漱石も通ったことがあるという歴史のある大学だったのです。元は漢文の塾で漢学者の三島中洲が1877年に創立したものです。今も少ないですが、当時も漢文の学校というのは少なく、漱石が通ったのも漢文がやりたかったからということのようです。漱石は別にして漢学は一般的に人気が無かったようですが、司法省や軍の士官学校の試験に使われたためその試験対策として通った人も多かったようです。戦後経営が苦しい時期もあったようですが、吉田茂とか渋沢栄一などが何故か支援しています。意外と
 本著は二松學舎の歴史とそれに関わった人々についてなぞって書いてあります。時代が長いので表面的で登場人物がやたら多く文章も少々読みづらい仕上がりとなっています。まあ、本著は関係者と二松に入りたい人ぐらいしか読まないのでこれでいいのでしょうが。
 二松出身の卒業生からのメッセージというのも本著の内容とは直接関係なく掲載されていて、元ロッテの初芝の文章もあります。
(★★)

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読書な毎日(169)

【トム・クルーズ 非公認伝記】 アンドルー・モートン
 本名トム・クルーズ・メイポーザー(43)の現在までの伝記。非公認となっているのは本人たちから取材していないからなのでしょう。しかし、周辺取材は綿密でトムの伝記と呼ぶにふさわしいものとなっています。
 彼の映画初出演作は1981年19歳のときの「タップス」という士官学校の映画です。トムのハリウッドとしてのキャリアはここからはじまっているわけですが、既にこの映画でショーン・ペンやティモシー・ハットンと共演し準主役旧の重要な役を演じています。映画界のコネも特に無かった彼がオーディションで抜擢されその後も順調にキャリアを重ねたのはやはり彼の演技力であり存在感だったのです。当初、私の中でもトム・クルーズと言うと「トップガン」、何をやっても女の子がキャキャー言うイケ面俳優程度の存在でほとんど注目していませんでした。そのイメージがあまりにも強すぎたせいで私がトムを見直したのはかなり後のことです。「ザ・エージェント」あたりでトムも随分うまくなったなあ、と思い「アイズ・ワイド・シャット」を見てもしかしてすごい俳優なんではと思い、以降の作品でそれは確信に変わったのでした。イケ面俳優故に、私のような評価をしていた人も多かったようですが、トムのキャリアそしてこの伝記を読んでみると、彼は最初から際立つ俳優だったようです。確かにイケ面ではあるけど身長はアメリカ人としては低い方です。中高生時代もモテるタイプではなく面白いやつ、というキャラクターだったようです。というわけでトム・クルーズという俳優は実力派だったんですね。現在は俳優業だけでなくプロデューサー業までこなしています。
 トム・クルーズは俳優前の時代にかなり苦労しています。小さいころはそれなりに幸せな家庭だったようですが、カナダに移住したころから父親のDVがひどくなり、最後は母親と姉と妹で4人で夜逃げしたそうなのです。そしてアルバイトをして家計を助けながら学校に通っていたのです。
 ここまではトム・クルーズの表の面に話ですが彼にはもう一つの顔があります。サイエントロジーと言う宗教の広告塔という役割です。トムとサイエントロジーとの出会いは最初の妻、ミミ・ロジャースとの出会いからはじまっています。彼女がサイエントロジストでありトムをサイエントロジーに引き入れたのです。以後ミミ・ロジャースは分派に別れ離婚してしまいますが、トムはそのままサイエントロジーに残ります。創始者ロン・ハバートの後継のデヴィッド・ミスキャヴィッジとは親友のようなつきあいとなっていきます。その後、ニコール・キッドマン、ペネロペ・クルスなどと出会いますがいずれもサイエントロジーが大きな要因となって別れています。
 サイエントロジーとはどういう宗教かと言うと、自己啓発セミナーに似ています。オーディティングと呼ばれるカウンセリングをすることが中心となっていて、ランクが上がるとオーディティングのカウンセラーとなれます。心理学者や精神科医を悪者としていて、特に抗うつ剤などによる投薬治療を否定しています。アメリカだけでなく世界に支部がありますが、ヨーロッパではカルト集団としている国もあります。俳優やミュージシャンをターゲットとし精力的に勧誘していて、ジョン・トラボルタやチック・コリアなども信者として知られています。
 私もそうでしたが、サイエントロジーという宗教もトム・クルーズがそこに入っていることもつい最近まで知りませんでした。バトルフィールド・アースもサイエントロジーの映画とは知らずに見てしまいました(^^; それはトムのまわりにそれをうまく隠しているエージェントがいたからだったのですが、それをクビにしサイエントロジストの実姉をエージェントにしてしまいました。以来トムがサイエントロジストであることが隠れなくなってしまったのです。
 私自身はトムがサイエントロジストでもなんでもかまいません。なぜなら今だ彼の仕事は一級品ですし、出演、プロデュースしている映画は重要なテーマを扱っているものが多いからです。しかし、トムにブレーキをかける人がいなくなってしまった今、一抹の不安を覚えます。
 本著はトム・クルーズとそれを取り巻く映画史、サイエントロジーを知る上で重要な本だと思います。
(★★★★)

【寿[kotobuki]魂】  國貞 陽一
 寿という沖縄音楽をベースにした音楽のロックバンドの生い立ちから現在までをつづったドキュメンタリー。寿は一般的には有名というわけではありませんが、ピース系の集会などではよく登場するので、その筋では有名です。女性ボーカルのナビィとギターと三線のナーグシク・ヨシミツの二人のユニットです。メンバーもっと多かったときもありますが、現在はこれで落ち着いています。私も今まで何度か寿のパフォーマンスを見たことがあったのですが、ナビィのキャラクターが強いので彼女一人で寿かと思っていました(^^;
 二人とも沖縄出身かと思っていたらヨシミツが沖縄でナビィは広島出身。その二人が知り合ったのは東京の音楽専門学校だった。それから約20年のキャリアが彼らにはありますがその道は平坦ではありません。紆余曲折を経ながら今に到達した感じです。彼らのパフォーマンスを見るとわかりますが、沖縄民謡なども取り入れながらオリジナリティとパワーにあふれた音楽です。また彼らの音楽は平和を祈念するものが多い。それはやはり、沖縄・広島がベースにあるからなのでしょう。世界に通用するユニットだと思うのでこれからの活躍にも期待しています。
 ちなみにこの二人は気が合ってるけど夫婦ではありません。ナビィの夫はなんと本著の著者。この伝記を書いてるうちに二人は結婚してしまったそうです(^^)
(★★★☆)

【STAND―立ち上がる選択】 大薮 順子
 シカゴに住む日本人フォトジャーナリストの著者が夏の夜自宅に侵入した男にレイプされます。その犯人は捕まるのですが、事件以来著者はPTSDに悩まされ、元とは違う自分に苛立ちます。そんな著者は紆余曲折を経ながら一つのプロジェクトを思いつきます。レイプ被害者たちの写真を撮る。著者自身もそうだったのですが、自分がレイプにあうまでは世の中にたくさんのレイプ被害者がいて、そのために人生が狂ってしまった人もいるということに気がついていなかった。また、彼らの苦しみがどんなものであるかもわからなかった。
 このレイプ被害者は女性だけではありません、男性や子どもたちもいるのです。被害者はその加害者を全く知らない人という場合は少なく、知人や親族である場合が多いのだそうです。そして、親族や利害関係者の間のレイプや性的虐待は表に出ず、隠されてしまうことが多く、実態はものすごい数にのぼるようです。本著でもカミングアウトと言っても良いぐらい著者のまわりに次から次へと際限ないかのように被害者が出てきます。女性の1/4がレイプ被害者というデータもあるそうですがうなずけてしまいます。さすがアメリカ帝国(^^;; 日本は今のところここまでひどくないでしょうが、アメリカをロールモデルとしてるとこうなっちゃうぞ(^^;;
 本著は非常に読みやすく、著者の撮った写真も良いです。著者は”世間にレイプ被害者がいて、彼らも生活している”ということを知ってもらうためこのプロジェクトを企画したそうです。この取材がきっかけとなり、講演依頼がきたり、ドキュメンタリー映画の被写体となったり、議会で証人として呼ばれたりもします。つまり、このプロジェクトにより彼女の目的通りとなっています。しかし、彼女ほどの行動力のある人でも一時はひきこもり状態となってしまっています。それだけ、レイプというのは人を傷つける行為なのです。一方、レイプ加害者の側も実は性的虐待を受けていたり、社会から阻害されていたりと何らかの問題を持っている人たちなのです。彼らのような人が増える社会にしてはいけないのです。
 著者は牧師の娘で自身もキリスト教を信仰しています。そのため、本著には聖書の言葉や、神が導いているとか、神が見ているとか、神が試しているとかそういうフレーズがたくさん出てきます。キリスト教を信仰するというのはつまり、こういうことなんでしょうがキリスト教信者に向けて書いた本というわけではないのですから、もうちょっと控え目に書いたほうがいいんではないかなと思いました。それはあってもすべての人に読んでもらいたい本です。
(★★★★)

【ロッカショ 2万4000年後の地球へのメッセージ】
 STOP-ROKKASHOプロジェクト
 六ヶ所の再処理工場を止めようという坂本龍一を中心としたアーティストたちの運動。STOP-ROKKASHOプロジェクトが本になりました。写真も豊富で読みやすい本に仕上がっています。坂本龍一がこの運動をはじめたきっかけは再処理工場というものが非常に危険で、1日で通常原発1年分の放射性物質を放出すると知ったからだそうです。こんなもの動かしたらとんでもないことになる、ということでアーティスト仲間に呼びかけホームページをつくり、曲をつくったそうです。本著ではLuna SeaのSUGIZOががんばっていて本人の文書だけでなく対談もしています。しかし、日本でも有名なアーティストがこうやって社会に対してはたらきかけるようになってきたんですね。
 本著は再処理工場の問題点だけではなく、原発に変わる代替エネルギーについても言及しています。日本は省エネばかり呼びかけていますが、イスラエルでは1980年に、スペインでは新築住宅に太陽光発電設置を2006年から義務付けています(ソーラー・オブリゲーション)。この動きはユーロッパで広がりを見せ、イタリア・ドイツ・アイルランドの一部地域でもはじまっているそうです。しかし、このソーラー・オブリゲーションをしているのは再処理のない国ばかりだな(^^;
(★★★☆)

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コラムyokoze「私にも届いたねんきん特別便」

Dscn7986 以前、私の年金も消えた一件であることはここにも書きましたが。私にも届きました!ねんきん特別便!
 中身を見るとかつて届いた「年金手帳の記号番号調査のお願い」よりは目的も何をすれば良いかもわかりやすいようになっています。私の記録を見るとやっぱり学生時代の国民年金がスッポリと消えていました。NTTデータが今回の件で年金の名寄せシステムつくったそうですが、私の消えた年金は名寄せできなかったということだね(^^; 名前が変わったわけでもなく、きちんと就職の際は届出もしているのにどうしてこうなっちゃうんでしょうね。しかし、舛添の存在を誇示するかのような筆文字サインがうざいな(^^;
 ちなみにsaikomsはまだ届いていません。もしかして、名寄せできたのかな(^^;?

 というわけで、私の年金消えてます!というハガキを返送する予定です。次の社保庁のアクションはどうなるのかな?

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新最近みた映画(88)

【タラデガ・ナイト オーバルの狼】 アダム・マッケイ
 ウィル・フェレル、サシャ・バロン・コーエン、ジョン・C・ライリー。全米NO1であり年間興収ベスト10にも入っている作品。NASCARのトップレーサのボビー(フェレル)であったが、ライバルチームがフランスからゲイのドライバー ジラール(コーエン)を連れてくる。そのレースでボビーは大クラッシュを起こしそれがトラウマで走れなくなってしまう。
 レースもののコメディです。フェレルは俺たちフィギアスケーターを見て面白いと思い、コーエンはボラットを見て気になり本作を見た次第です。コーエンは本作ではボラット前なので、ほとんど無名扱いなのですがゲイの変なフランス人としてその存在感はピカ一です(^^;
 ばっちいおやじたちが主人公の映画ですが、意外にも”カーズ”のようにすがすがしい映画です。
(★★★)

【パラダイス・ナウ】 ハニ・アブ・アサド
フランス・ドイツ・オランダ・パレスチナ合作。カイス・ネシフ、アリ・スリマン。家族にも内緒で自爆テロ志願し、国境を越える二人の若者の話。自爆テロなどしそうもない仲の良い二人の若者が気がつけば自爆テロ要員になってしまいます。一度決まると手続きは事務的に進行し、もう後戻りはできません。長すぎた戦争がこんなことまでルーチンワークに変えてしまっていることに驚きました。そういえば日本も同じことやってましたね。特攻隊。
 主人公の二人の心が対照的に描かれています。一人は一度決めたのだからまじめに頑なに任務を遂行しようとします。もう一人は、できればやりたくないと思っています。それが結局二人の運命を決めてしまいます。どっちが幸せなんでしょうか?
(★★★☆)

【ディック&ジェーン 復讐は最高!】 ディーン・パリソット
 ジム・キャリー、ティア・レオーニ、アレック・ボールドウィン。おかしな泥棒ディック&ジェーンのリメイク。ディックは彼が勤めるIT企業で広報部長に抜擢される。彼は天にも昇る気分だったが喜んだのも束の間、既に会社は破綻状態であっという間に倒産してしまった。
 本作は現代風にエンロン事件をベースにしているそうです。社員は大企業に勤め意気揚々としていたのが、一夜にして失業者に転落。預金も全て自社株にしていたため紙屑に。偉いさんだけはまんまと資産を隠して逃げてしまう。笑えない笑い話ですごくあわれですが、本作は映画なので華麗な復讐劇がはじまります。
 ジム・キャリーはいつもの調子で笑わせながら映画をひっぱり飽きさせません。ティア・レオーニのコメディアンヌぶりもなかなか良いです。
 私としては、薄汚い企業家の懲らしめ方がやや足りない気がします。こういう根性の腐った経営者は無一文のホームレスになるぐらいまで追い込んじゃっていいのにね(^^;
(★★★☆)

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読書な毎日(168)

【自民党で選挙と議員をやりました】 山内 和彦
 映画「選挙」主演の山さんこと山内和彦氏の書いた選挙と自民党。曲がりなりにも自民党だった著者が書いた自民党の選挙と議員生活の内幕が書かれています。映画では議員生活の話は無かったので、その後どうなって何故結局出馬をやめたのかというのが本著を読むとわかります。
 自民党というのは結局は地域の利益団体なわけです。きちんと地割り、票割りがされており、誰に投票するか決まっている。当選したらその地域に利益を誘導する政策を実現するということです。そこに著者は補選で落下傘で入ってしまったわけですが、次回の統一地方選では居場所がなかったのです。おそらく、既に選挙中に著者はそのことに気がついたのでしょうが、もう乗ってしまった船からは降りれなかったのです。
 本著には映画では語られなかった、自民党の実態がけっこう出ています。選挙カーは補選だからかしてくれましたが、通常は自分で用意せねばならず、事務所も自分で用意せねばなりません。自民党として出るからには自民党型の選挙をしなければならいません。例えばウグイスを雇うのは必須で、自動的に派遣されてきます。費用はもちろん候補者持ち。
 本著は自民党が相当気に入らなかったのか、なんとAmazonでは発売以来ずっと売り切れ状態となっています。つまり、それだけ知られたくない自民党選挙のことが書いてあるってことですね。
 映画のことについても書いてあります。著者もこの映画が国際映画祭に出品されるようなものになるとは思っていなかったそうです。その話を聞き、監督の自宅で公開前の映画を見て”なんでこんな映画にしたんだ”と怒ったそうです。けれど結局は納得して公開になったわけですが、本作は様々な偶然が重なり、作品として世に出ています。しかし、この映画は世に出るべくして出た映画と言っていいでしょう。つまり自民党が終わるという時代の転換点だからつくれた映画なのです。かつての自民党時代ならこのような映画はどうあっても公開まで行かなかったことでしょう。
(★★★★)

【続・世界の闇を語る父と子の会話集】 リチャード・コシミズ
 自称ネットジャーナリストの著者のブログを元にした本。神保町の書泉グランデで売っていたのを買いました。Amazonとか普通の本屋では売ってません。父と子の会話集となっていますが、生徒がコシミズ氏に質問し、それに答えるという形式の文書なのでそういうタイトルになっているのでしょう。経済と政治の話が多いのですが、このような文体をとっているためわかりやすい内容となっています。飄々としていてユーモアのある文章はなかなか面白い。
 ユダヤ人や創価学会に恨みがあるわけではないと言いつつも、なんでも創価学会とユダヤ様とかデビ爺(デビッド・ロックフェラー)のせいにしているところがコシズミ氏にはあります。非常に的を得ている話も多いのですが。
 彼が言ってるエッセンスは次のような感じ。911はユダヤ勢力が常温水爆を使って起こしたものだった。ネトウヨは半島系の人が煽動している。裏にいるのはユダヤ様。日本と中国が仲良くなっては困るので、ユダヤ様が裏で二国をアメリカはもう没落するのみ。ユダヤ様はアメリカに見切りをつけた。ユダヤ様が長生きなのは東洋医学を使ってるから。ガンは血液の病気でガンをとってはいけない。血液から毒がなくなればガンは消える。なんて感じですかね。
 コシズミ氏が表に出てきたのはここ1,2年のことのようで各地で講演もしています。天木さん、フルフォードと一緒にも講演しています。はてさて、コシズミブームは今後やってくるのかな(^^;?
(★★★☆)

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