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読書な毎日(171)

【原発・正力・CIA】 有馬 哲夫
 読売新聞、よみうりテレビの経営者だった正力 松太郎を中心にしたルポ。正力と言えばナベツネの前身ぐらいのイメージぐらいしか無かったのですが、ナベツネどころではないある意味大物だったというのが本著を読んでわかりました。佐野眞一氏が正力の伝記のタイトルを巨怪伝としている意味もわかりました。ちなみにこの巨怪伝はよっぽどやばい本なのかネット書店どこでも品切れです(^^;;
 警察官僚だった正力は読売新聞を買収し社長となる。巨人軍を創設し販売部数を伸ばす。第二次大戦でA級戦犯となるが巣鴨プリズンから見事に脱出。戦後は原子力の平和利用という名目で原発の日本導入に尽力し「日本の原子力の父」と呼ばれる。よみうりテレビも創設、国会議員にもなる。原発の導入の世論づくりに読売新聞とよみうりテレビは大きな役割をはたす。資金力を生かし総理大臣の椅子も狙うがそれはかなわず。CIAとは原発の導入などで綱引きをします。正力のコードネームはポダムで、CIAからは信用されていなかったようです。それで結局アメリカから原子炉は買えず、日本最初の東海村原子炉はイギリス製なのです。正力は原子力を単なるビジネスチャンスと捉えていたようですが、核兵器につながる原発を正力のような危険人物に与えては危ない!とアメリカは考えていた。
 正力はディズニーとも関係があります。ディズニーのつくった原子力平和利用アピールの映画「わが友原子力」(Walt Disney Treasures - Tomorrowland という米国DVDに収録)をよみうりテレビで元日に放映。ディズニーランドの誘致にも関係し、自分は正力ランド(よみうりランド)をつくったりしています。
 しかし、日本って不思議な国ですね。A級戦犯に名を連ねるぐらいの人が国会議員になり、マスコミを牛耳る地位にそのまま残ってしまうのです。とにかく、本著を読んで読売新聞とよみうりテレビが権力寄りである意味がよくわかりました(^^;; こういう新聞が発行部数1位となり、視聴率三冠とかを達成してる日本ってやっぱヤバクない(^^;;
 取材内容はかなりのスクープだと思うのですが、残念ながら文章がやや読みづらい。というわけでネタもネタなのでなかなかこの話は広がらないだろうな。
(★★★★)

【ルポ貧困大国アメリカ】
 堤 未果
 本著は著者の前著のアメリカ弱者革命の続編的な本ですが、前著と比較し要点をまとめ対象範囲も広め没落するアメリカの様子を網羅している本です(^^; 著者の他著同様、非常によみやすくわかりやすい本で、没落するアメリカに関しての初心者でもグングンと理解できることでしょう。あの国がヤバイことを(^^;; 本著は女性の品格などと並びベストセラーランキングの上位に食い込んでいますが、これはやはり岩波新書のパワーなんでしょうかね。もちろんようやく日本人もあの国がやばいんじゃないかと気がついたのでしょうが、日本含めてもう手遅れかもよ(^^;;
 サブプライムローン、医療問題、肥満問題、貧困問題など豊富に取材しています。現在のアメリカには食料キップ(フード・スタンプ)に頼って生活する人が 2000万人もいます。彼らは何故か太っています。なぜなら安くて高カロリーのバランスの悪い食事をしているからです。そんな彼らが病気になっても医者にかかれません。なぜならそういう人は保険に入っていないので高すぎる医療費が払えないからです。そんな底辺の生活から脱出するには軍隊に入ってイラクに行くしかありません(^^;
 世にも恐ろしい話がたくさん載っていますが、その中でも特に気になったものをいくつかピックアップします。自由化の影響でアメリカの医療費はものすごく高くなってしまいましたが、高いのに医療ミスはものすごく増えていてそれで命を落とす人が 年間20万人もいて、なんと死因の第一位だという。値段は高いがコスト削減のため看護士は減らされ、医療機器は使いまわしたりするため、医療のレベルが低下。お産にもあまりにも金がかかるため、できるだけ早く病院を出ようと日帰り、一泊出産なんてのが普通に行われるそうだ(^^;; 乳幼児の死亡率が先進国中で飛びぬけて低いのもこういうわけだったんですね。
 貧しい家庭のために、給食の無料or割引制度というのがあり、これを利用している子どもがたくさんいる。昼食だけでなく、朝食もあるのだが、これもやはり安くて高カロリーで調理が簡単な食べ物であり、肥満の原因となっている。この給食は民間の業者、兵士のごはんもつくってるケロッグとかマクドナルドなどがつくってるのだ(^^;;
 なんでもアメリカの真似をする日本は現状この路線をつき進んでいます。こんな日本になっていいの?
 著者はつい先日、国会議員になった川田龍平と結婚しました。なんと素晴らしい組み合わせなんでしょうか。この二人がもっともっと表舞台に出てくるようになると、日本は良くなると思うのだが。
(★★★★☆)

【秘密】 重信 メイ
 日本赤軍の重信房子の娘、重信メイ(命)の手記。日本赤軍とは私が子どもの頃の話でもあり、よく知らなかったのですが。主にパレスチナ解放を求めて武装闘争していた集団のことです。母の房子は直接武装闘争には参加していませんが赤軍の中心メンバーとして活躍したとされ、日本国内で逮捕拘留され懲役20年の刑を受けています。
 娘のメイはパレスチナ人の父親との間にレバノンで生まれています。父はイスラエル軍に射殺されこの世にいないそうです。現在は日本国内でジャーナリストとして活躍しています。ここまで書いただけでも壮絶な半生ですが、この本には私たちでは考えも及ばないようなものすごい生い立ちがつづられています。
 日本赤軍はパレスチナ解放のために活動していたため、パレスチナにとっては英雄です。ところがイスラエルからすればテロリストで、常にイスラエルの諜報機関(モサド)に追跡されています。彼らは中東の地で名を隠し、日本人であることも隠し、常に引越ししながら生活しています。そのメンバーはモサドなどに捕まり次第に減っていきます。
 メイ自身はレバノン生まれなのですが、母にずっと日本のことを聞かされていたため彼女のアイデンティティは日本にあるようです。母の房子も日本をあきらめてパレスチナに飛びだしたものなかと思いきや、彼女は日本という郷土を愛していてそれは娘にも引き継がれるぐらいだったということなのです。彼女も日本にいつの間にか帰ってきていて、そして逮捕されてしまいました。恐らく中東にいれば捕まることが無かったでしょうに。
 本著は日本赤軍やその思想についてのことはあまり書いてありません。母の話、友達の話、出自を隠して生きることのつらさ。自国というアイデンティティがないということについて書いてあります。パレスチナ人はもう60年もそんな状態にあります逆に言えばイスラエル人(ユダヤ人)はやっと獲得した自国なのです。
 この地域がかくもこじれてしまったのは、建国時のイギリスの対応があったり米国のイスラエル肩入れ政策だったり国際社会の無関心もあったりしますが、60年という月日はあまりにも長い。一時オスロ合意で和平への道が開かれたかのように見えた時期もあったのですが米国が共和党政権になったら元にもどってしまいました。米国が没落し、民主党政権になるここ数年のうちにパレスチナ問題はおそらく何らかの動きがあるでしょう。
 非常に読みやすい本ですので、日本赤軍とパレスチナ問題の導入として読むのに適した本でしょう。最後に付け加えておくと重信メイさんは表紙の写真の通り、モデル級の美人です。キャスターとしてCS放送のレギュラーも持ってるようなので興味ある人は見てください。
(★★★★☆)

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