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読書な毎日(169)

【トム・クルーズ 非公認伝記】 アンドルー・モートン
 本名トム・クルーズ・メイポーザー(43)の現在までの伝記。非公認となっているのは本人たちから取材していないからなのでしょう。しかし、周辺取材は綿密でトムの伝記と呼ぶにふさわしいものとなっています。
 彼の映画初出演作は1981年19歳のときの「タップス」という士官学校の映画です。トムのハリウッドとしてのキャリアはここからはじまっているわけですが、既にこの映画でショーン・ペンやティモシー・ハットンと共演し準主役旧の重要な役を演じています。映画界のコネも特に無かった彼がオーディションで抜擢されその後も順調にキャリアを重ねたのはやはり彼の演技力であり存在感だったのです。当初、私の中でもトム・クルーズと言うと「トップガン」、何をやっても女の子がキャキャー言うイケ面俳優程度の存在でほとんど注目していませんでした。そのイメージがあまりにも強すぎたせいで私がトムを見直したのはかなり後のことです。「ザ・エージェント」あたりでトムも随分うまくなったなあ、と思い「アイズ・ワイド・シャット」を見てもしかしてすごい俳優なんではと思い、以降の作品でそれは確信に変わったのでした。イケ面俳優故に、私のような評価をしていた人も多かったようですが、トムのキャリアそしてこの伝記を読んでみると、彼は最初から際立つ俳優だったようです。確かにイケ面ではあるけど身長はアメリカ人としては低い方です。中高生時代もモテるタイプではなく面白いやつ、というキャラクターだったようです。というわけでトム・クルーズという俳優は実力派だったんですね。現在は俳優業だけでなくプロデューサー業までこなしています。
 トム・クルーズは俳優前の時代にかなり苦労しています。小さいころはそれなりに幸せな家庭だったようですが、カナダに移住したころから父親のDVがひどくなり、最後は母親と姉と妹で4人で夜逃げしたそうなのです。そしてアルバイトをして家計を助けながら学校に通っていたのです。
 ここまではトム・クルーズの表の面に話ですが彼にはもう一つの顔があります。サイエントロジーと言う宗教の広告塔という役割です。トムとサイエントロジーとの出会いは最初の妻、ミミ・ロジャースとの出会いからはじまっています。彼女がサイエントロジストでありトムをサイエントロジーに引き入れたのです。以後ミミ・ロジャースは分派に別れ離婚してしまいますが、トムはそのままサイエントロジーに残ります。創始者ロン・ハバートの後継のデヴィッド・ミスキャヴィッジとは親友のようなつきあいとなっていきます。その後、ニコール・キッドマン、ペネロペ・クルスなどと出会いますがいずれもサイエントロジーが大きな要因となって別れています。
 サイエントロジーとはどういう宗教かと言うと、自己啓発セミナーに似ています。オーディティングと呼ばれるカウンセリングをすることが中心となっていて、ランクが上がるとオーディティングのカウンセラーとなれます。心理学者や精神科医を悪者としていて、特に抗うつ剤などによる投薬治療を否定しています。アメリカだけでなく世界に支部がありますが、ヨーロッパではカルト集団としている国もあります。俳優やミュージシャンをターゲットとし精力的に勧誘していて、ジョン・トラボルタやチック・コリアなども信者として知られています。
 私もそうでしたが、サイエントロジーという宗教もトム・クルーズがそこに入っていることもつい最近まで知りませんでした。バトルフィールド・アースもサイエントロジーの映画とは知らずに見てしまいました(^^; それはトムのまわりにそれをうまく隠しているエージェントがいたからだったのですが、それをクビにしサイエントロジストの実姉をエージェントにしてしまいました。以来トムがサイエントロジストであることが隠れなくなってしまったのです。
 私自身はトムがサイエントロジストでもなんでもかまいません。なぜなら今だ彼の仕事は一級品ですし、出演、プロデュースしている映画は重要なテーマを扱っているものが多いからです。しかし、トムにブレーキをかける人がいなくなってしまった今、一抹の不安を覚えます。
 本著はトム・クルーズとそれを取り巻く映画史、サイエントロジーを知る上で重要な本だと思います。
(★★★★)

【寿[kotobuki]魂】  國貞 陽一
 寿という沖縄音楽をベースにした音楽のロックバンドの生い立ちから現在までをつづったドキュメンタリー。寿は一般的には有名というわけではありませんが、ピース系の集会などではよく登場するので、その筋では有名です。女性ボーカルのナビィとギターと三線のナーグシク・ヨシミツの二人のユニットです。メンバーもっと多かったときもありますが、現在はこれで落ち着いています。私も今まで何度か寿のパフォーマンスを見たことがあったのですが、ナビィのキャラクターが強いので彼女一人で寿かと思っていました(^^;
 二人とも沖縄出身かと思っていたらヨシミツが沖縄でナビィは広島出身。その二人が知り合ったのは東京の音楽専門学校だった。それから約20年のキャリアが彼らにはありますがその道は平坦ではありません。紆余曲折を経ながら今に到達した感じです。彼らのパフォーマンスを見るとわかりますが、沖縄民謡なども取り入れながらオリジナリティとパワーにあふれた音楽です。また彼らの音楽は平和を祈念するものが多い。それはやはり、沖縄・広島がベースにあるからなのでしょう。世界に通用するユニットだと思うのでこれからの活躍にも期待しています。
 ちなみにこの二人は気が合ってるけど夫婦ではありません。ナビィの夫はなんと本著の著者。この伝記を書いてるうちに二人は結婚してしまったそうです(^^)
(★★★☆)

【STAND―立ち上がる選択】 大薮 順子
 シカゴに住む日本人フォトジャーナリストの著者が夏の夜自宅に侵入した男にレイプされます。その犯人は捕まるのですが、事件以来著者はPTSDに悩まされ、元とは違う自分に苛立ちます。そんな著者は紆余曲折を経ながら一つのプロジェクトを思いつきます。レイプ被害者たちの写真を撮る。著者自身もそうだったのですが、自分がレイプにあうまでは世の中にたくさんのレイプ被害者がいて、そのために人生が狂ってしまった人もいるということに気がついていなかった。また、彼らの苦しみがどんなものであるかもわからなかった。
 このレイプ被害者は女性だけではありません、男性や子どもたちもいるのです。被害者はその加害者を全く知らない人という場合は少なく、知人や親族である場合が多いのだそうです。そして、親族や利害関係者の間のレイプや性的虐待は表に出ず、隠されてしまうことが多く、実態はものすごい数にのぼるようです。本著でもカミングアウトと言っても良いぐらい著者のまわりに次から次へと際限ないかのように被害者が出てきます。女性の1/4がレイプ被害者というデータもあるそうですがうなずけてしまいます。さすがアメリカ帝国(^^;; 日本は今のところここまでひどくないでしょうが、アメリカをロールモデルとしてるとこうなっちゃうぞ(^^;;
 本著は非常に読みやすく、著者の撮った写真も良いです。著者は”世間にレイプ被害者がいて、彼らも生活している”ということを知ってもらうためこのプロジェクトを企画したそうです。この取材がきっかけとなり、講演依頼がきたり、ドキュメンタリー映画の被写体となったり、議会で証人として呼ばれたりもします。つまり、このプロジェクトにより彼女の目的通りとなっています。しかし、彼女ほどの行動力のある人でも一時はひきこもり状態となってしまっています。それだけ、レイプというのは人を傷つける行為なのです。一方、レイプ加害者の側も実は性的虐待を受けていたり、社会から阻害されていたりと何らかの問題を持っている人たちなのです。彼らのような人が増える社会にしてはいけないのです。
 著者は牧師の娘で自身もキリスト教を信仰しています。そのため、本著には聖書の言葉や、神が導いているとか、神が見ているとか、神が試しているとかそういうフレーズがたくさん出てきます。キリスト教を信仰するというのはつまり、こういうことなんでしょうがキリスト教信者に向けて書いた本というわけではないのですから、もうちょっと控え目に書いたほうがいいんではないかなと思いました。それはあってもすべての人に読んでもらいたい本です。
(★★★★)

【ロッカショ 2万4000年後の地球へのメッセージ】
 STOP-ROKKASHOプロジェクト
 六ヶ所の再処理工場を止めようという坂本龍一を中心としたアーティストたちの運動。STOP-ROKKASHOプロジェクトが本になりました。写真も豊富で読みやすい本に仕上がっています。坂本龍一がこの運動をはじめたきっかけは再処理工場というものが非常に危険で、1日で通常原発1年分の放射性物質を放出すると知ったからだそうです。こんなもの動かしたらとんでもないことになる、ということでアーティスト仲間に呼びかけホームページをつくり、曲をつくったそうです。本著ではLuna SeaのSUGIZOががんばっていて本人の文書だけでなく対談もしています。しかし、日本でも有名なアーティストがこうやって社会に対してはたらきかけるようになってきたんですね。
 本著は再処理工場の問題点だけではなく、原発に変わる代替エネルギーについても言及しています。日本は省エネばかり呼びかけていますが、イスラエルでは1980年に、スペインでは新築住宅に太陽光発電設置を2006年から義務付けています(ソーラー・オブリゲーション)。この動きはユーロッパで広がりを見せ、イタリア・ドイツ・アイルランドの一部地域でもはじまっているそうです。しかし、このソーラー・オブリゲーションをしているのは再処理のない国ばかりだな(^^;
(★★★☆)

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