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新最近みた映画(81)

【バッシング】 小林 政広
 占部房子、田中隆三、大塚寧々。NGO活動中に中東で人質事件に巻き込まれ帰国した有子(占部)であったが自宅に帰ると世間の冷たい目が待っていた。この映画はイラク人質事件から監督が着想を得てつくったフィクションでカンヌのコンペにも選ばれた作品ですが、バッシングをテーマにしているということであやうくお倉入りとなるところだった映画です。このこと自体日本という国を象徴していると言っていいかもしれません(^^;
 イラク人質事件をベースにしていますが、日本では常に起こる危険のある事象です。事件が起きマスコミ主導で世論が形成されバッシングがはじまる。つい最近でも時津風親方とか守屋次官なんかがそうですね(^^;; 彼らの場合はある程度の権力者ですが、なんの権力もない一般の女性でも容赦なくバッシングするのが最近の傾向です。
 本作は北海道の苫小牧に住む有子が主人公で、お父さんと後妻と暮らしています。どこにでもある広漠とした地方都市。ホコリっぽく薄暗い職場、プロボックスに乗って現れる作業服の彼氏、などディテールの表現が妙にリアルな感じがしました。ここに描かれている有子は高遠さんとは別人ですが、有子とそれを取り巻く環境は正に現代日本の姿です。カンヌのコンペに選出されたのも納得の映画ですね。
 監督はこの次作(近日公開)として「愛の予感」という映画をとり、これではなんと、監督・脚本・主演となっています。同作はロカルノ映画祭でグランプリをとりましたが、どんな映画か楽しみです。
(★★★★)

【エルミタージュ幻想】
 アレクサンドル・ソクーロフ
 セルゲイ・ドレイデン。ロシアのエルミタージュ美術館ロケでなんと1カットで撮ったという映画。ステディカムを使い流れるように美術館を巡ります。この映画は美術館の調度品を紹介するだけという映画ではなく、美術館とその時代背景を案内人とともに巡るという構成になっています。1カットと知らないで見るともしかしたら、1カットであることに気がつかないかもしれません。私は本作を1カットと知った上で見てしまったのですが、もし知らないで見ていたらその印象はかなり違っただろうなと思います。
 1カットであることばかり書きたくはないのですが、よくこんな映画が撮れたなと感心してしまいます。おそらく今後も1カット映画を撮る監督はあらわれないでしょう。
 なぜ監督はこの映画を撮ったのかというのは、メイキングで監督が語っているのですが、ロシアに対する愛なんです。90分で流れるようにロシア300年が過ぎていきます。ロシアの歴史をほとんど知らないので、見ていてもよくわからないのが残念なのですが。もともと美術館というのは歴史を凝縮している場所なんだなと改めて気がつきました。この映画をみてエルミタージュ美術館を訪れる人が増えてくれるとうれしい、と監督は語っていましたが私も同美術館に行ってみたくなりました。
(★★★☆)

【ハービー/機械じかけのキューピッド】 アンジェラ・ロビンソン
 リンジー・ローハン、マット・ディロン、ジャスティン・ロング。レーサー一家に生まれ、自身もレーサーになりたいマギー(ローハン)が主人公。彼女はスクラップ寸前のフォルクスワーゲンを整備してハービーと名づける。その車は天性?のレーサーだった。
 1970年代にラブバッグというこの映画の前身となるシリーズがあって、そこに出てくるハービーがスクラップ寸前だったという設定らしい。本作はアイドルのリンジーを主演に迎え、ディロンがライバルレーサーとして登場するコメディタッチの楽しい映画になっています。ワーゲンがインディカーでトップ争いするなんてありえない話ではあるのですが、シマウマが競走馬と競走する「レーシング・ストライプ」を彷彿とさせ楽しかったです。ディロンがいい味出していて良かった。
 リンジーはこの後アル中になったりなんだりでスキャンダル女優になってしまいましたが、最近は落ち着いてきたようで。彼女が演技してるのはじめて見たけど、そんなカワイコちゃんという感じではなく、落ち着いた女優だなという印象でした。引き続き話題作に出てるようですので、今後に期待しときます。
(★★★)

【輝く夜明けに向かって】 フィリップ・ノイス
 ティム・ロビンス、デレク・ルーク。アパルトヘイトが行われていた80年代の南アフリカが舞台。反政府組織の英雄だった実在の人物パトリック・チャムーソを描いた映画。
 チャームソは石油精製所で働き比較的恵まれた生活を送っていた。政治にもあまり興味の無かった彼だが、テロの容疑者として疑われる。捜査官フォス(ロビンス)の執拗な捜査のため、逆に反政府活動に身を投じるようになる。
 フォスは家庭ではよき父であり夫なのですが、仕事となると非常に冷酷です。これは差別意識のなせることなんでしょうが、これだから変な法律ができると恐ろしい。彼のようなタイプの人間は仕事に忠実で決まりがすべてですから、それがおかしな法律だと思わないのです。
 しかし、80年代まで南アはこんなひどい国だったんですよね。それがワールドカップが開催できるようにまでなりました。指導者が変われば国はあっという間に変わるのです。
 本作は、表紙やチラシはアクション映画みたいに見えますが、やや冗長なところもある地味めの社会派人間ドラマです。
(★★★☆)

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