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読書な毎日(158)

【たたかうジャーナリスト宣言】 志葉 玲
 フォトフリージャーナリストの著者の初単行本です。ジャーナリストへのきっかけとなる、イラク戦争にはじまり、2006年のイスラエルによるレバノン侵攻、アチェの津波、日本の難民問題などについて書いてあります。写真もすべて著者がとったものです。
 著者は週刊誌や夕刊紙によく記事を載せていますが、そこでは書けないというよりか載せてくれないエピソードや写真が本著には多数掲載されています。多くの人に読んで知ってもらいたい情報です。日本のイラク戦争支持がいかに愚かな選択だったかというのがよくわかります。
 レバノン侵攻やアチェ津波のまとまった取材情報は新しい事件ということもあり、今まで読んだことが無く興味深かったです。津波により長く対立していた政府と反政府ゲリラが、この一大事に争っている場合ではないということで和解したというのが印象的でした。自然の驚異の前には人間同士争ってるのがばからしくなったんでしょうね。
 著者にはもっと長いキャリアがあるのかと思っていたのですが、意外と活動はじめたのは最近だったのですね。彼のような姿勢のジャーナリストは非常に少なく今後の活躍を期待しています。
(★★★★)

【累犯障害者】 山本 譲司
 獄窓記の著者が取材したルポ。累犯障害者とは障害者故に社会から見捨てられ行く宛もなくなり、軽犯罪を繰り返して刑務所に出たり入ったりする人たちのことです。彼らは知的障害者の場合が多く、著者が刑務所に入ったときにそのような人がたくさんいることに気がつき、本著の取材のきっかけとなりました。具体的な事件についていくつか取材しルポを書いていますが、その取材力はなかなかのもので、国会議員よりジャーナリストの方が合ってるんではないのだろうか、と私は思いました。前著は自分のことについて書いた本でかなり評判になりましたが、私は本著の方がより優れた本だと思いました。
 日本での知的障害者は正に棄民と言ってもいいぐらい見捨てられています。保護者や身元引受人があれば、補助金などが出る仕組みもあるのですが、本人はその存在さえ知らない場合が多く、また保護者が知的障害者の場合もあります。逆にその制度を悪用し、障害者から補助金を巻き上げる人もいます。こういった累犯障害者はひとたび刑務所に入ってしまうと、出獄したとしても仕事も住む場所も食べ物もなく、お腹がすいて泥棒し、刑務所に逆戻りするのです。
 世間を騒がせた事件についてもいくつか取材されていますが、あのレッサーパンダ帽の男は知的障害者だったのだそうです。マスコミはあの事件について大騒ぎしていましたが、犯人が知的障害者とわかった時点でほとんど報道しなくなったそうだ。どうりで、彼が知的障害者であることを私も知らなかったわけです。彼の父親も知的障害者でレッサーパンダ帽の男は父親からひどく虐待を受けたのだそうです。そしてあるとき失踪し、あの事件を起こしてしまった。あの事件はまさに日本社会の歪みが起こした事件だった。
 他にも痛ましい話がたくさん載っています。どれも社会がケアできれば防げたような話ばかり。安全安心とか言って警察力を強化するより、彼らの手助けをし、刑務所なんかに入れないようにした方が社会は安全安心になるのです。
 この実態はみなさんも知らないと思うので是非とも多くの人に読んでもらいたい本です。
(★★★★☆)

【外交力でアメリカを超える―外交官がたどり着いた結論】 天木 直人
 著者の講演をまとめたもの。著者の主張は一貫しているのですが、対米追従をやめ、憲法9条を中心に据え主体的に平和外交を行うということです。ところが今の外務省、官僚、政治家はみんなアメリカの方ばかり向いて顔色ばかりうかがっています。小泉政権下でその傾向はますます増えています。
 普通に考えれば戦後60年以上たってるのですから外国軍の基地があるのはおかしいのです。ところがこの基地は恒久化しつつあり、中東への前線基地になっています。これに文句言わず、しょぼいミサイルを持っていて核実験に失敗してるような国ばかり批判するのはバランスをかいてはいないでしょうか。
 著者の書いていることは私の考えとほぼ一致しています。こういう人が外務省にもいたんだなと感心するところですが、逆に言えばこういうまともな人は結局はじき出されてしまうのが外務省なんですね。本著は講演がベースとなっていますので、読みやすく文量も多くないのですぐに読めるでしょう。
 著者は参議院選で9条ネットから出馬して、”怒れ、9条!”という新著も出しています。というわけでこの本も購入して読みたいと思ってます。
(★★★☆)

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