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新最近みた映画(78)

【チョムスキーとメディア/マニュファクチャリング・コンセント】 ピーター・ウィントニック、マーク・アクバー
 1992年カナダ作のドキュメンタリー。日本では15年後の1997年になって公開されました。2部構成の160分という大作。内容は様々な時期のようですが、ひたすらチョムスキーの語りです。
 政府や企業に都合のいいニュースばかりとりあげ、その逆のニュースはいかに取り上げないかということを実証します。例えば、同じ時期に起こっていたカンボジアと東ティモールの虐殺で、後者についてはアメリカ政府が虐殺側を支援していたためほとんどとりあげられなかった。同じようなことは常に起こっている。これを防ぐにはオルタナティブメディアが必要だと語っています。オルタナティブメディアとは何だという話は本作では具体的にはないのですが、今になってみるとこれにあたるのはインターネットなのです。ホームページやブログがそれにあたるのでしょう。
 チョムスキーの言葉はさすが言語学者だけあり無駄がなく理路整然としていて、ディベートの相手としてかなり手強い。本作でも何回かディベートしているシーンがあるのですが、相手のボロ負けです。
 地位も名誉もあるチョムスキーのような人がなぜ権力や権威を批判しているのか、という質問をされ彼は答えます。「朝起きて、自分の顔を鏡でまっすぐ見たいから」だそうです。つまり、自分の心にウソをつきたくないってことでしょうね。実に頼もしい。彼のような人がもっともっと増えれば世界はきっと良くなる。
(★★★★)

【フォーリング・マン】 ヘンリー・シンガー
 英チャンネル4製作のドキュメンタリー。911事件のとき、貿易センタービルから多数の人が煙や熱にたえきれず飛び降りた。その写真や映像も撮られた、一部は新聞に掲載されたが、そんな写真を載せるなんてひどいという抗議があり、以降どこにも飛び降りる人(フォーリング・マン)の写真が掲載されることは無かった。
 本作はその新聞に掲載されたフォーリング・マンは誰だったのかというのを調べることを通し、なぜたくさんの人が飛び降りたという事実が隠されたのかを検証しています。
 まず、私は知らなかったのですが”自殺”という行為はキリスト教では地獄に落ちる罪、とされていることです。従って自殺はあってはならないことで、恥ずかしい行為なのです。この事故の境遇では熱かったり息苦しかったりで飛び降りているのですから、自殺にはあたらないと思うのですが、アメリカ人はそうは思わないのです。遺族たちも自分の家族が飛び降りたことを必死に否定しようとします。それでフォーリング・マンを特定することは困難をきわめるわけです。日本人の私の感覚からするとちょっとわからない心境です。そんなこんなでビルから飛び降りたらしい人は100人近くいたようなのですが、正確な数はわからないし、あのビルからバラバラとたくさんの人が飛び降りたという映像も写真も事実も封印されてしまったわけです。というわけで本作は911事件というより、結果として死とキリスト教とマスコミの関係を炙り出してしまった作品です。
(★★★★)

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