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読書な毎日(146)

【死は易きことなり】 太田 尚樹
 副題は陸軍大将山下奉文の決断。マレー半島攻略作戦を指揮した山下大将(マレー戦のときは中将)に焦点をあてて描いた作品。マレー戦については何度か読んだことはあったのですが、こんなに詳しく書いてある本は読んだこと無かったし、その後のシンガポールでの華僑虐殺の話も本著ではじめて読みました。第二次世界大戦と言うと、アメリカとの戦争ばかり日本では語られていますが、中国、そして東南アジアでも日本は戦争していたのです。マレー半島では、真珠湾攻撃の約1時間前に上陸作戦が開始されます。日本軍は南下しマレー半島を防衛していたイギリス軍を追い詰め、シンガポールを開戦からわずか2ヶ月で陥落させます。しかし、本著は日本軍が痛快に攻めていく戦記ものではなく、既に燃えつきていた山下中将が主役。彼はいわゆる軍隊の出世コースからは、外れてしまった存在でした。詳しくは本著に譲りますが、226事件で失脚し、マレー攻略戦の次点で既に死に場所を求めていたのです(^^;まあ、本心は本人にしかわかりませんが。マレー戦は彼の無心の指揮の結果が生んだのか大成功のうちに終わりますが、その後シンガポールで日本軍による華僑の大虐殺を引き起こし、満州に飛ばされ、最後はフィリピンで終戦を迎え、戦犯として死刑になります。不遇とも言えますが、こんな人事をやっていては勝てる戦争だって勝てっこないでしょう。
 とにかく私も含めてですが、日本軍が東南アジアで何をしていたかというのを知らなすぎます。これを知らずして、東南アジアの日本に対する感情なんてわかることはないでしょう。
(★★★☆)

【観光コースでない マレーシア・シンガポール】 陸 培春
 シンガポール人の著者が書いた本。主に悪虐非道の限りをつくした日本軍の戦跡を訪ね歩いています(^^; 著者の祖父はシンガポール大虐殺の犠牲者だそうですので、本著が怒りで満たされるのも仕方ないことでしょう。こういうことから目をそらしている限り。日本人はいつまでたっても許してもらえないのです。戦争の展示を紹介している場所が何箇所かあるのですが、決まって最後に原爆の写真があるようです。しかし、その原爆によって日本軍の占領が終わった、これだけ日本はひどいことしたので当然の報いだみたいな感じのようです。おそらくアジア一般の原爆の捉え方はこれなんでしょうね。
 マレーシア。シンガポールとありますが主にシンガポールの戦跡について書いてあります。このうち血債の塔(日本占領時期死難人民記念碑)と、セントーサ島のイメージオブシンガポールに行きましたが、後者は展示の内容が本著からだいぶ変わっていました(本著は1997年に出版された本)。日本軍に関する展示がほぼ消えているのです。これは日本人に配慮したものなんでしょか(^^;? とにかく日本にとってシンガポールは単なるリゾートアイランドではないということは知った上で旅行した方がいいでしょう。
(★★★☆)

【ぼくはマッド・チャイナマン】 篠崎 弘
 副題はディック・リーが奏でるシンガポールの明日。1990年出版なのでけっこう前の本なのですが、シンガポールを代表するミュージシャン、ディック・リーとシンガポールについて書かれている本です。マッド・チャイナマンというのは彼の曲にも使われているタイトルです。シンガポールは1965年に独立した若い国です。著者はシンガポールを新設の学校と例えていますが、きれいで規則が厳しいというのがその根拠。私も訪問して感じましたが、日本並に(^^;注意書き、禁止事項の看板が多いです。ゴミも日本並に落ちていません。周辺のアジア諸国と比較するとこの辺、確かに異色です。
 本著ではシンガポールに原論の自由は無いと言い切ってしまっていますが、ロックを禁止したり、長髪も禁止にしていたそうです。ディック・リーもその影響を受けてロックは断念し、彼なりの音楽をつくるようになったということのよう。ロックに限らず政府批判やドラッグやタバコを連想させるものは放送禁止歌となってしまうお国柄(^^;そういう厳しい規制の中から彼の音楽はうまれていったのです。
 本著を読んだ理由は私もディック・リーの音楽を知っていて興味を持っていたからです。私の中ではシンガポールというとまずディック・リーが浮かんで次にマーライオンそしてリー・クアンユーですかね(^^; それぐらい私にとってディック・リーとは印象に残っているミュージシャンなわけです。あらためて彼の曲の歌詞を読んでみると、なかなか面白いものが多い。シンガポールについて歌っているものがほとんどなんですね。
 最近は新アルバムも出していないようでやや重鎮化してしまったのかもしれませんが、それはシンガポールという国自体もそんな感じでやや停滞気味!?
(★★★☆)

【シンガポール捕虜収容所】
 杉野 明
 日本軍の占領により、シンガポールのチャンギ捕虜収容所に収容されていたイギリス兵たちの日記をまとめたもの。かなりの驚愕の内容。このチャンギに残った捕虜はそれほどでも無かったようですが、タイとビルマを結ぶ泰緬鉄道の建設に送られたり、炭鉱掘りに送られたイギリス兵やオーストラリア兵、オランダ兵の運命は苛酷です。部隊によっては二千人送られて12人しか生還しなかったという部隊もあります。その要因は戦闘によるものではなく、十分な医療施設や食糧がないこと、苛酷の労働によるもの、証拠を消すための虐殺などで、正に地獄のような世界です(^^;; よく日本兵のシベリア抑留が問題とされますが、それ以上と言って良いぐらいのことも日本軍はやっていたのです。
 しかし、これが今まであまり問題となっていなかったのは、ヨーロッパ本国の方であまりアジアに派遣されていた兵士が注目されないこと。生還者が少なかったこと。生還者達があまりに苛酷な境遇だったためこのことを語りたがらなかったことによるもののようです。当時日本はジュネーブ条約から抜けていたようではありますが、正に国際条約違反のオンパレード。捕虜に対する拷問、苛酷な労働、戦争のための施設をつくらせるなど、まあ実に恥ずかしい限りです。こんなことをしていて、よくもアジアの開放なんて言えたものですね。こんな酷いことされていて、よくヨーロッパは日本を非難しないものだと思いました。本著はイギリス兵の証言なのでアジア現地の人のことはあまり書かれていないですが、同じような境遇で強制労働させられています。これだけ酷いことやっていれば怨まれるのも当然のこと。しかし、今だに与党自民党系の議員はほとんどこの戦争について謝罪していません。日本が軍を持てばいつかまた同じことをやるのではないか、と思われても仕方ないでしょう。
 捕虜となっていたイギリス兵の原爆に対する感情も前述した感想文と同様。これだけ酷いことしたのだから当然の報いだし、あれがなければ戦争はもっと長引いていただろうというもの。原爆の悲惨さを訴えてもなかなか世界に伝わらないのは、日本軍の鬼畜の所業が大きな要因となっているのです。
(★★★★)

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