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読書な毎日(135)

【内部被曝の脅威】 肥田 舜太郎、鎌仲 ひとみ
 今まで言われていた放射能の被害はベーター線、ガンマ線など外部から放射線をあびることによるものばかりでしたが、本著は食物や吸引することにより体内に取り込んでしまった放射性物質の被害に焦点をあてたものです。もちろんベーター線、ガンマ線の内部被曝もあるのですが、外部被曝ではあまり言及されることないアルファ線も内部被曝をひきおこします。アルファ線は紙1枚で遮蔽できる程度の範囲しか影響を及ぼさないのですが、体内に取り込まれてしまえば距離は0ミリですから大きな影響を人体に及ぼします。食物や吸引などにより体内にとりこまれます。劣化ウランの被害はこのアルファ線による内部被曝によるものとされています。
 肥田氏は自身もヒバクシャの医師で内部被曝をずっと研究しています。原爆破裂後に広島入りした人の中からも死者が出た原因はいったいなんだろう、ということでたどりついたのが内部被曝だったのだそうです。
 鎌仲氏は映画「ヒバクシャ」の監督で、映画を撮るようになった経緯そして内部被曝のメカニズムなどについても詳しく書いてあります。一部著作の”ドキュメンタリーの力”とだぶる内容もありますが。
 内部被曝は原爆が開発された当初から、研究者の間ではわかっていたようです。しかし、それが公になって、内部被曝を防ぐようにしなければならないとなると、核物質の管理が非常に難しくなるので”影響なし”ということにしているのです。世界にこれだけ核物質が広がってしまった現在もその状況は変わらず内部被曝の研究を発表しようとすると圧力がかかるのだそうだ。それも核が密接に軍事と関わっているからなのです。
 しかし、こうやって内部被曝というキワードで本が出るようになっただけでも大きな前進でこれから世界的に内部被曝が認知されるようになれば原発も劣化ウラン弾も世界的に廃止の方向へ向かって行くことになるでしょう。
 本著は専門的なことが非常にわかりやすく書いてありますので、原発大国の日本人は是非とも読んだ方がいいでしょう。
(★★★☆)

【ヒバクシャ―ドキュメンタリー映画の現場から】 鎌仲 ひとみ
 映画ヒバクシャから鎌仲監督の新作、六ヶ所村ラプソディーに至るまでの手記です。一部前記の”内部被曝の脅威”と”ドキュメンタリーの力”と重なる部分がありますが本著がそのあたり一番詳しく書いてあります。また映画の裏話や登場人物の話ももたくさん載っていて映画を見た人は是非とも読んだ方が良いでしょう。
 ”ヒバクシャ”はイラク、アメリカ、ヒロシマなど世界各地を巡る旅でしたが、六ヶ所村ラプソディーは六ヶ所村の人々を撮っているドキュメンタリーです。元は漁業と農業の町だった六ヶ所ですが、政府の思惑に翻弄されプルトニウムの町となってしまいました。工場の有害性を訴えれば土地や作物の価値が下がり食っていけなくなる。結局はその工場関連で働くか、補助金に頼るしかなくなってしまう。そういう悲しい姿が浮かび上がってきます。六ヶ所に限らず、いわゆる迷惑施設と言われるもののある場所はいつもこうなってしまいます。そして迷惑施設がどんどん集まってきてしまうというおぞましいことになってしまうのです(^^;
 とにかく、本著と映画とあわせて見ることをおすすめします。
(★★★★)

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