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読書な毎日(95)

【B29に乗った少年】 浜垣 容二
 サイパン玉砕を3つのストーリー、3つの視点から描いたドキュメンタリー。サイパンから日本へ引き上げる輸送船で船を撃沈され海に投げ出された人々の話。サイパンに上陸して迫ってくる米軍から逃げる人々。占領後、アメリカ軍人と仲良くなった少年の話。タイトルとなっているのはこの3つ目の話です。
 沖縄玉砕の話はよく聞きますが、サイパンその他太平洋上の島々やフィリピンなどであった第二次大戦というのは実に少ない。しかし、ここも大変な状況だったのです。サイパンは日本が30年も占領統治していたため、たくさんの日本の民間人が住んでいました。ここはアメリカにとって重要な戦略拠点でした。というのもここに飛行場をつくれば日本の本土がB29によって空襲可能となるからです。そしてサイパンは民間人を巻き込んでの血みどろの戦いとなったのです。驚いたのは玉砕後も数年にわたり山の中に立てこもっていた兵士や民間人が多数いたことです。日本を信じてこんな悲惨な状況になっていた人たちが南洋諸島にもいたことをもっと知るべきです。と言ってる私もフィリピン戦などについてもほとんど知らないので、もっと調べてみようかと思っています。
(★★★★)

【報復ではなく和解を】 秋葉 忠利
 広島の秋葉市長の講演録と平和宣言。それにまつわるエピソードについて市長自身が語っています。意外なことに市長は東京出身で被爆者ではありません。だからこそあれだけ被爆者の視点でスピーチできるのかもしれません。
 私自身、秋葉市長のことはあまり知りませんでしたが2003年の平和宣言を何の気なしにNHKの中継でみていました。不明慮なメッセージをモゴモゴ言う政治家が多いですが、秋葉市長ははっきりとわかりやすい言葉で核兵器の廃絶と戦争の根絶を訴えていて、たいへん印象に残りました。続けて語った小泉総理のモゴモゴぶりとは正に対照的でした。本著でも秋葉市長のメッセージは輝いています。自分で考え、自分の言葉でメッセージを発することのできる数少ない政治家なのでしょう。
 市長のメッセージはポジティブです。被爆者は3つの勝利を勝ち取っているのだそうです。1つは被爆して生き残り死にたいほどに大変な状況を乗り越えた勝利。2つ目は被爆の悲惨さを訴えつづけることにより3発目の核兵器が使われるという事態にはなっていないという勝利。3つ目は平和憲法を守ってきたこと、だそうです。
 ”忘れられた歴史は繰り返す”のだから被爆の悲惨さを忘れないように世界に発信していく。”隣人は愛さなくてもいいから、違いを認めよ”。いずれもリンカーンの言葉だそうですが、秋葉市長がよく使う言葉です。人間なんてそんな高級なものではないからできる範囲で進んで行こう見たいな感じで好感が持てます。崇高すぎる理想より、手の届く実践なのです。それが平和へと近づくための道なのです。
(★★★★)

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