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読書な毎日(94)

【小泉純一郎最後の賭け】 大下 英治
 タイトルは小泉ですが、内容はYKK特に加藤と小泉についてYKK結成から現在(この本は2003年5月出版)までの動きを追っているノンフィクション。むしろ主役は加藤のような書き方です。
 考えてみればこの期間にはいろいろありました。小渕総理の死、加藤の乱、森総理と愛媛丸。小泉総理誕生、911、小泉北朝鮮訪問 などなど。それらを時代を追って検証しているので、なつかしいし整理になります。そういえばこんなこと言ってたなというのがあります。
 しかし、日本の政権闘争というのは正にヤクザの縄張り争いと同じ。数と金の力で勢力を拡大し、ボス(総理大臣)の座を射止めるのが目的です。そこには国民の姿はありません。こんなことをいつまでやらせておくんでしょうかね。
 タイトルにある最後の賭けとは、一応小泉二度目の総裁選のことを差しています。結局圧勝に終わり、続く衆議院選、参議院選をなんとか乗り切りました。しかし、もう当初の勢いはありません。沈没寸前の船のような状態でしょうか。支持率が40%を切ったときに小泉おろしがはじまると、本著にはありましたがついにその40%を切る状態となりました。この秋には何かが起こるのか....。
(★★★)

【私は英雄じゃない】 リック・ブラック
 イラク戦争で救出されたアメリカ兵、ジェシカ・リンチのノンフィクションです。私は当初この本は、ジェシカを英雄に祭り上げている本かと思っていたのですが違います。ジェシカがどんな人物で、イラクで何が起こり、救出後に何が起こったかを書いた本。作者はアメリカ人ですからアメリカ寄りなところもあるのですが、比較的公平な目で描かれています。この本アメリカでは売れなかったそうですが、アメリカ人が知りたくないことが書いてあるので、それもうなずけます(^^;
 本著はイラク戦争だけでなく、アメリカという国の社会問題まであぶり出しています。若者にとって有力な就職口が少ないため軍隊に入っている人が多いという現実。憶測情報に群がり虚構をつくりあげるメディア。戦争を熱狂的に応援するアメリカ人の姿。
 当初の報道はこのようでした。リンチは勇敢に戦い敵を何人も殺した後に捕虜となり、拷問や肛門レイプまでされたうえ病院に収容され、そこでも尋問や拷問をされた。最後はアメリカの特殊部隊が突入しサダムフェダイーンに拘束されていたリンチを見事救出した。
 しかし、リンチ本人の証言では。輸送部隊のトラックが立ち往生し、ハンビー(大型ジープ)に乗っていたところを襲撃され、自動車は横転しリンチは気を失う。3時間後に目覚めたときはイラクの病院のベッドにいた。手足は骨折し、脊椎を損傷する重症で生死も危うい状況だった。不完全な設備にも関わらずイラク医師に何度も手術をしてもらった。この病院の設備ではどうにもならないので、アメリカにリンチを引き渡そうともしたが、銃撃され近づけなかった。リンチの負傷から10日後突如特殊部隊が病院に突入しリンチを連れ去った。
 そもそも発端は輸送トラックが道を間違えたことです。開戦当初の気が立っているイラク人の町に輸送トラックで侵入し、撃退されてしまったのです。このミスにより同じ部隊のリンチ以外の8人は全員死亡しています。彼女の親友もこの事故で亡くなっています。なのにアメリカに帰ってみたら自分は英雄に祭り上げられている。なんなのこれ?というのが彼女の正直な気持ちだったのでしょう。
 彼女の怪我は相当な重症で、この本が発行された当時(事故から役1年)もまだ満足に歩けず、下半身に麻痺が残り内蔵の調子もよくないそうです。20歳の若者が1年たってもこんな状況ですからその凄まじさがわかります。戦争とはヒーローをつくるのではなく、現実には山のような死者と障害者を敵味方、そして民間人にも生み出すもの。日本もこんなアメリカの真似をしたいのですか?
(★★★★)

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