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読書な毎日(83)

【麻原を死刑にして、それで済むのか?】 渡辺 脩
 旧オウム真理教、麻原教祖の弁護団(国選弁護人)の団長の手記。裁判なんかする必要はない、あんなやつは死刑だ!という世論におされ、警察、検察は強引にストーリーをつくって麻原被告を死刑にしたてていきます。そのいい強引さいい加減さに著者は警鐘をならしています。
 オウム関連のすべて事件で麻原被告は実行犯ではありません。従って彼がどのように指示を出したか、というのが有罪にする決め手となるのですが、このあたりの証拠がかなり曖昧です。辻褄があわなかったり、証言が食い違ったり、無理な証拠もたくさんあるのですが、それでも裁判は強引に進んでしまっています。警察、検察はもちろんですが日本の司法自体もかなり危うい状況と言ってよいでしょう。
 一連の事件で、刺殺された村井氏がかなり重要な位置を占めています。この刺殺事件自体、真相がよくわかりません。しかし、正に死人に口なしで検察の論法の組み立てはすべて麻原が村井に指示を出し、それを各人が実行したことになっています。村井が直接指示を出した事件もあるかもしれないのですが、その検証はされていません。
 渡辺氏が感じた麻原被告の人物像についての記述もあります。彼は麻原被告に好感を持っています。被告は人間的魅力がある人のようで、宗教者としてもそれなりの人のようです。そうでなければ、あれほどの信者は集まらない。被告はあるときから完全に黙秘するようになってしまって弁護人にも何も語らなくなってしまったそうです。単なる詐欺師だったら、黙秘を続けることなどできません。やはり彼は修行を積んだ宗教者なのでしょう。
 被告は盲目です。一連の事件にすべて彼が指示を出したというのはやはり無理があります。日本で例えるなら、天皇の位置にいたのが麻原で首相の位置にいたのが村井だったのではないでしょうか。しかし裁判がまともに行われていないので、真相はこのままでは解明されないでしょう。
 一審で麻原は死刑となり、現在控訴しています。被告は国選弁護人は拒否しているそうで、そうなると渡辺さんは弁護しないのかな?
 オウム事件あたりから、日本の警察、司法はおかしくなっていったように思います。わかりやすい指標としては検挙率の低下にあらわれています。司法もこんなおかしな状況だというのに、”裁判員制度”という新しいやり方で裁判をしようとしています(既に可決した)。おそらくこの裁判員制度はまともに機能せず、おかしな裁判が行われることになるでしょう。こういうことに無関心でいると世の中はどんどんおかしくなっていってしまいます。
(★★★★)

【心のノート逆活用法】 伊藤 哲司
 小中学生の副教材として”心のノート”というものが今、配れられています。癒し系愛国教育のテキストとも呼ばれているそうです。日本はよい国。他人に迷惑をかけてはいけない。嘘をついてはいけない。協調性を持たなくてはいけない。規則は守らなければいけない。前向きにがんばれ!ということが何度も何度も書いてあります。
 本書は”逆活用”とありますが、その心のノートとはどんなものか、というのを分析している本です。心のノートには小学校低学年、中学年、高学年。そして中学生用の4種類ありますが、なかなかこの4冊を通して見ることはできないので、本著をそのダイジェスト版として見るのもよいでしょう。
 しかし、気持ち悪い本ですね。きっと子どももそう思うでしょう(^^; 自由には責任がともなうんだよ!というページもありましたが、自己責任論は心のノート的に言えば当然の考えなんですね(^^;
 とにかく、子どもたちにこんな変な教材が配られていることを、大人は知っておかなければなりません。
(★★★)

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